統合機能安全性 FS

用途

ハイデンハインのコントローラを備える機械用の統合機能安全性 FS の安全コンセプトにより、既存の機械安全設備に加えて、機械に補足的なソフトウェア安全機能が提供されます。統合安全コンセプトにより、機械のドアが開いたままで加工が実行された場合などに、自動的に送り速度が低下します。機械メーカーは安全コンセプト FS の調整や拡張ができます。

条件

  • SIK 装備コントローラの場合:
    • ソフトウェアオプション No. 160 Integrated FS: Basic またはソフトウェアオプション No. 161 Integrated FS: Full
    • 必要に応じて、ソフトウェアオプション No. 162 ~ 166 Add. FS Ctrl. Loop またはソフトウェアオプション No. 169 Add. FS Full
    • 機械のドライブの数によっては、これらのソフトウェアオプションが必要になります。

  • SIK2 装備コントローラの場合:
    • ソフトウェアオプション Integrated FS: Basic (No. 6-30-1)
    • 必要に応じて、ソフトウェアオプション Integrated FS: Full (No. 6-30-2*)
    • コントローラに SIK2 が装備されている場合、ソフトウェアオプション番号 #6-30-1 により 4 つの安全軸が使用可能になります。ソフトウェアオプション番号 #6-30-2* を複数回注文して、最大 6 つの追加の安全軸を使用可能にできます。

  • 機械メーカーは安全コンセプト FS を機械に合わせて調整する必要があります。

機能説明

工具機械の各ユーザーは危険にさらされています。保護装置で危険な場所へのアクセスを防ぐこともできますが、保護装置なしで (例えば、保護ドアを開けたままで) 機械を操作しなければならない場合もあります。

安全機能

統合されている機能安全性 FS は、標準化されている安全機能を提供することにより、人員保護への要件を確保します。機械メーカーはそれぞれの機械に対して機能安全性 FS を実行する際に、標準化されている安全機能を使用します。

有効な安全機能を機能安全性 FS の軸ステータスで確認することができます。

メニュー項目「軸のステータス」

名称

意味

概略説明

SS0、SS1、 SS1D、SS1F、 SS2

安全停止

さまざまな方法による駆動系の安全な停止

STO

安全トルクオフ

モーターへの電源供給が遮断されています。駆動系が予期せず始動することのないように保護します

SOS

安全動作停止

安全な動作停止。駆動系が予期せず始動することのないように保護します

SLS

安全制限速度

安全に制限された速度。保護ドアを開けた状態で、駆動系が事前に設定された速度制限値を超えないようにします

SLP

安全な位置制限

安全に制限された位置。安全な軸が規定範囲を逸脱していないことを監視します。

SBC

安全ブレーキ制御

モーター抑速ブレーキの 2 チャンネル制御

機能安全性 FS の安全関連操作モード

コントローラは機能安全性 FS により、さまざまな安全関連操作モードを提供します。最も低い番号の安全関連操作モードが最高の安全度を示しています。

機械メーカーの実装に応じて、以下の安全関連操作モードが使用できます:

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

機械メーカーは各機械に対して安全関連操作モードを実装する必要があります。

アイコン

安全関連の作動モード

概略説明

操作モード SOM_1

安全動作モード 1:

自動モード、生産モード

操作モード SOM_2

安全動作モード 2:

設定モード

操作モード SOM_3

安全動作モード 3:

手動アクセス (有資格のユーザー専用)

操作モード SOM_4

この機能は、機械メーカーが使用可能にして、調整する必要があります。

安全動作モード 4:

拡張手動アクセス、プロセス監視 (有資格のユーザー専用)

作業エリア「位置」における機能安全性 FS

機能安全性 FS を備えたコントローラでは、回転数 S や送り速度 F の要素が監視され、作動状態が作業エリア「位置」に表示されます。監視されている状態で安全機能が作動すると、機械のドアを開いたときなどにコントローラは送り動作とスピンドルを停止させるか、または速度を下げます。

軸および位置の表示

機能安全」アプリケーション

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

機械メーカーがこのアプリケーションの安全機能を設定します。

操作モード「ホーム」の「機能安全」アプリケーションに、個々の安全機能の状態に関する情報が表示されます。このアプリケーションで、個々の安全機能が有効であるかどうか、コントローラで受け入れられているかどうかを確認できます。

機能安全」アプリケーションの作業エリア「概要

メニュー項目「軸のステータス

設定」アプリケーションのメニュー項目「軸のステータス

設定」アプリケーションのメニュー項目「軸のステータス」に、個々の軸の状態に関する以下の情報が表示されます。

フィールド

意味

構成された機械の軸

状態

アクティブな安全機能

停止

SLS2

SOM_2 モードにおける SLS の回転数または送り速度の最大値

SLS3

SOM_3 モードにおける SLS の回転数または送り速度の最大値

SLS4

SOM_4 モードにおける SLS の回転数または送り速度の最大値

この機能は、機械メーカーが使用可能にして、調整する必要があります。

Vmax_act

回転数または送り速度に対する現在有効な制限
SLS 設定または SPLC からの値

999 999 より大きい値の場合は、MAX と表示されます。

以下のアイコンとボタンが表示されます:

アイコンまたはボタン

意味

選択した軸のテスト状態をリセットする

テストフラグのリセット

すべての軸のテスト状態をリセットする

 
Tip
  • テスト状態のリセットは、カスタマーサービス機能です。この機能は、ハイデンハインまたは機械メーカーから要請された場合にのみ使用してください。
  • 軸のテスト状態をリセットするには、「NC.ApproveFsAxis」権限が必要です。この権限は、ユーザー管理が有効な場合のみ使用できます。
  • ユーザー管理

  • ユーザー管理のロールと権限

軸のテスト状態

機械をオンにしたときにコントローラにより監視されている軸がすべてテストされるため、安全な作動状態での軸の使用が保証されます。

このテストでは、軸の位置がシャットダウン直後の位置と一致しているかが確認されます。一致しない場合は、該当する軸の位置表示に警告を示す赤の三角形が表示されます。

機械の始動時に個々の軸のテストがうまくいかなかった場合は、軸のテストを手動で実行できます。

軸位置の手動点検

個々の軸のテスト状態は以下のアイコンで示されます:

アイコン

意味

軸は点検済みであるか、点検の必要がありません。

軸が未点検ですが、安全な操作を保証するには点検が必要です。

軸位置の手動点検

FS は軸を監視していないか、軸は安全として設定されていません。

FS は軸を監視していますが、安全機能 SLP が無効になっています。

機械メーカーは、機械パラメータ safeAbsPosition (No. 403130) で、軸の安全機能 SLP を有効にするかどうかを定義します。

軸位置の手動点検

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

この機能の調整は機械メーカーに依頼する必要があります。

機械メーカーは点検の位置を定義します。

以下のように軸の位置を点検します:

    1. 操作モード「手動」を選択します

    1. 基準点に走行する」を選択します
    2. 作業エリア「リファレンス付け」で「軸位置を確認」を選択します

    1. 希望の軸を選択します

    1. NC スタートキーを押します

    1. 軸が点検位置に移動します。
    2. 点検位置に到達すると、メッセージが表示されます。

    1. 機械の操作パネル上の「確認ボタン」を押します
    2. 軸が、点検済みと表示されます。
     
    注意事項
    衝突の危険に注意!
    工具とワーク間で自動的に衝突点検は行われません。 プリポジショニングが不適切であったりコンポーネント間の間隔が十分でないと、点検位置まで移動する際に衝突のおそれがあります。
    1. 点検位置まで移動する前に、必要に応じて安全な位置に移動します
    2. 衝突の可能性がありますのでご注意ください
     
    Tip

    作業エリア「リファレンス付け」で「リファレンス付け」と「軸位置を確認」モードを切り替えることができます。

    注意事項

    • ハイデンハインのコントローラを持つ工具機械には、統合機械安全性 FS または外部安全性が装備されています。この章は、統合機能安全性 FS を備える機械だけを対象にします。
    • 機械メーカーは機械パラメータ speedPosCompType (No. 403129) で、保護ドアが開いているときの回転数制御式 FS-NC 軸の動作を定義します。機械メーカーは、例えばワークピーススピンドルのスイッチオンを許可し、それによって保護ドアが開いているときのワークピースでの罫書きを可能にすることができます。 機械のマニュアルを参照してください。
    • 繰り返しセルフテストが実行されます (不良ケーブルを検出するためなど)。機械メーカーが、セルフテストを実行する時間間隔を定義します。セルフテストが有効な場合、情報バーにアイコンが表示されます。セルフテストが有効な場合、軸動作は実行できません。