オーバーライドコントローラ
用途
オーバーライドコントローラは、従来のオーバーライドポテンショメータに機能を追加した操作エレメントです。
オーバーライドコントローラに関連して、例えば次の機能が提供されます:
- 調整ホイールを使用して送り速度や早送りを操作する
- 統合キー「NC スタート」で NC プログラム を開始します
- 振動により触覚的なフィードバックを受け取る
- ブレークポイントによる条件付き停止を定義する
- オーバーライドの増加によって NC プログラムを続行する
条件
- オーバーライドコントローラ OC 310
オーバーライドコントローラを使用できるかどうかは機械によって異なります。
機械のマニュアルを参照してください。
- コントローラが完全に起動している
制御電圧が確認された後にのみ、オーバーライドコントローラが認識されます。
- 工具チェックが実行済みである
機能説明
オーバーライドコントローラの要素
オーバーライドコントローラには以下の要素があります:
1 | |
2 | 「NC スタート」キー 「NC スタート」キーで NC プログラムを開始します。 「プログラム実行オプション」ウィンドウの設定に応じて、「NC スタート」キーで NC プログラム を続行できます。 |
3 | 調整ホイール 調整ホイールを使用して、送り速度や早送りのオーバーライドを変更します。 「プログラム実行オプション」ウィンドウの設定に応じて、NC プログラムをオーバーライドで続行できます。 |
オーバーライドコントローラの視覚的なフィードバック
オーバーライドコントローラには、次の視覚的なフィードバックがあります:
状態 | オーバーライドスケール |
---|---|
オーバーライドコントローラが非アクティブ (非常停止など) | 消灯 |
オーバーライド値 0 % | 消灯 |
オーバーライド値 0 %~99.5 % | 白 |
オーバーライド値 100 % | 緑 |
オーバーライド値 100.5 %~ | 青 |
「NC スタート」キーが緑色で点灯します。機械によって色が異なる場合があります。
オーバーライドコントローラの触覚的なフィードバック
オーバーライドコントローラには、次の触覚的なフィードバックがあります:
状態 | フィードバック |
---|---|
オーバーライドの最小値または最大値 | オーバーライドコントローラは、オーバーライドが最小値または最大値に達すると振動します。 |
オーバーライド値 100 % | オーバーライド値が 100 % になると、オーバーライドコントローラが振動します。 |
ブレークポイントでの停止 | コントローラがブレークポイントで停止すると、オーバーライドコントローラが振動します。 |
「プログラム実行オプション」ウィンドウ
- 「プログラム実行オプション」ウィンドウ
次のように「プログラム実行オプション」ウィンドウを開きます。
- 操作モード「プログラム実行」で、「プログラム実行オプション」ボタンを使用
- 作業エリア「シミュレーション」で、「可視化オプション」列の「プログラム実行オプション」スイッチを使用
「プログラム実行オプション」ウィンドウには、オーバーライドコントローラとの組み合わせで以下の設定項目があります。
アイコンまたはボタン | 意味 |
---|---|
送り速度は維持され、押すと再開します このボタンが有効な場合は、ブレークポイントによる停止時にオーバーライド値が変更されません。「NC スタート」キーを押して、NC プログラムを続行します。 | |
送り速度は0%に設定、押して回すと再開します このボタンが有効な場合は、ブレークポイントによる停止時にオーバーライド値が 0 % に変更されます。「NC スタート」キーを押し、オーバーライド値を増やして、NC プログラムを続行します。 | |
送り速度は0%に設定、回すと再開します このボタンが有効な場合は、ブレークポイントによる停止時にオーバーライド値が 0 % に変更されます。オーバーライド値を増やして NC プログラムを続行します。 Machine 機械のマニュアルを参照してください。 機械メーカーはオプションの機械パラメータ resumeByTurning (No. 141801) で、このボタンを使用できるかどうかを定義します。 | |
条件付き停止の実行 | ブレークポイントを有効または無効にするスイッチ |
ブレークポイント
次のブレークポイントがあります:
ブレークポイント | 意味 |
---|---|
早送りへの切り替え | 送り速度 F から早送り FMAX に切り替わるたびにコントローラが停止します。 |
送り速度への切り替え | 早送り FMAX から送り速度 F に切り替わるたびにコントローラが停止します。 |
2つの早送りの間 | FMAX での連続する早送り移動の合間にコントローラが停止します。 |
工具の呼び出し | TOOL CALL による物理的な工具呼出しの前に、毎回コントローラが停止します。 Tip TOOL CALL での回転数の変更時などは、コントローラは停止しません。 |
作業面の傾斜 | 次の構文要素を含む NC ブロックの前で、コントローラが停止します:
|
サイクルの呼び出し | 次の構文要素を含む NC ブロックの前で、コントローラが停止します:
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サイクルの呼び出し内 | 最初の切込みの前で停止 次のサイクルでは、最初の切込みの前にコントローラが停止します。
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各切込みの前に停止 次のサイクルでは、各切込みの前にコントローラが停止します。
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停止なし 次のサイクルではコントローラは停止しません。
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有効なブレークポイントが作業エリア「状態」の「PGM」タブに表示されます。
ブレークポイントの表示
以下のアイコンでブレークポイントが表示されます:
アイコン | 意味 |
---|---|
アクティブな停止 ブレークポイントが検知され、この位置でプログラムランまたはシミュレーションが停止します。 | |
非アクティブな停止 ブレークポイントが検知されても、この位置でプログラムランまたはシミュレーションは停止しません。この NC ブロックの前で停止させるには、「プログラム実行オプション」ウィンドウの該当するスイッチを有効にする必要があります。 |
「プログラム実行オプション」ウィンドウで少なくとも 1 つの条件付き停止が有効になっている限り、NC プログラムのブロック番号の前にブレークポイントのアイコンが表示されます。
アイコンを選択すると、関連付けられたブレークポイントの名前が表示されます。
注意事項
- オーバーライドコントローラは、操作モード「手動」でも送り速度オーバーライドおよび早送りオーバーライドとして作用します。
- NC プログラムにブレークポイントがある場合、「工具確認」列の「条件付き停止の実行」エリアにチェックマークが表示されます。
- オーバーライドコントローラを急激に減少方向に回すと、自動的に送り速度オーバーライドが 0 % に設定されます。そのために、オーバーライドコントローラが 0 % になっている必要はありません。
オーバーライドコントローラを再び増加方向に回すと、NC プログラムが続行されます。そのために、「NC スタート」キーを押す必要はありません。この動作は、「プログラム実行オプション」ウィンドウの設定とは無関係です。
急激に減少方向に回した後は、送り速度を 0 % から 100 % に戻す必要があります。
- 実行カーソルがブレークポイントに到達すると、両方のアイコンが重なります。それにより、コントローラの停止理由がわかります。
- 「送り速度は0%に設定、回すと再開します」ボタンが有効な場合、次のように反応します。
- 条件付き停止後に NC プログラム を続行するには、オーバーライド値を増やす必要があります。それ以外の場合は、「NC スタート」が必要です (プログラムを開始するときなど)。
- NC プログラム内で連続して 2 つの条件付き停止がある場合、0.3 秒間はオーバーライド値 0% を変更できません。これにより、オーバーライドコントローラの 1 回の動作で両方の条件付き停止が続行されないようにすることができます。
- 手動工具交換による条件付き停止の後は、「NC スタート」 キーを押す必要があります。オーバーライド値の増加によって NC プログラムを続行することはできません。
機械パラメータと関連した注意事項
機械のマニュアルを参照してください。
- 機械メーカーは、早送りの最大オーバーライド値を定義します。例えば最大オーバーライド値が 100 % のときに、100 % を上回る早送りのオーバーライド値を 100 % を設定しても、100 % で計算されます。この場合、調整ホイールを元に戻しても、回転はすぐには反映されません。オーバーライドコントローラが実際に 100 % になってから、オーバーライド値が変更されます。
- 機械メーカーはオプションの機械パラメータ ocWaitTime (No. 103412) で、次の場合に待機時間が有効かどうかを定義できます。
- ブレークポイントの後、プログラムが 0 % で続行される場合
- オーバーライド値の 100 % に達した場合