ドレッシング
用途
機械の研削工具を研いだり成形したりすることを、ドレッシングと呼びます。ドレッシング時には、ドレッシング工具で研削ホイールを加工します。このため、ドレッシング時には研削工具がワークになります。
関連項目
- ドレッシングモードを FUNCTION DRESS で有効にする
- ドレッシングのサイクル
- ドレッシング工具のパラメータ
- 座標研削
- 円筒研削
条件
- ソフトウェアオプション Grinding (#156 / #4-04-1)
- 研削加工用のキネマティクス記述がある
機械メーカーがキネマティクス記述を作成します。
機能説明
ワークゼロ点はドレッシング時に研削ホイールのエッジにあります。該当するエッジは、サイクル 1030 ACTIVATE WHEEL EDGE で選択します。
ドレッシング時の軸の配置は、X 座標が研削ホイール半径の位置、Z 座標が研削工具軸の縦位置を示すように設定されます。このため、ドレッシングプログラムは機械タイプに依存しません。
どの機械軸がプログラミングされた動作を実行するかは、機械メーカーが設定します。
ドレッシング時に研削ホイールで材料除去が生じ、ドレッシング工具で摩耗が発生することがあります。材料除去や摩耗はパラメータの変化につながり、このような変化はドレッシング後に修正する必要があります。
パラメータ COR_TYPE は工具マネージャでパラメータの次のような修正案を提示します:
- 補正付き研磨ホイール、COR_TYPE_GRINDTOOL
研削工具での材料除去に対する補正方法
- 摩耗したドレッシング工具、COR_TYPE_DRESSTOOL
ドレッシング工具での材料除去に対する補正方法
研削工具表 toolgrind.grd (#156 / #4-04-1)
研削工具またはドレッシング工具を補正方法に関係なく、サイクル 1032 GRINDING WHL RADIUS COMPENSATION と 1033 GRINDING WHL RADIUS COMPENSATION で補正します。
ホイール側面形状のドレッシング
次の研削工具タイプに対してホイール側面形状を定義できます:
- 円筒形の研削ピン
- ストレート砥石
定義したホイール側面形状をドレッシングするために、次の方法が用意されています:
- 正面または軸側のみ、サイクル 1011 DRESSING SIDE A/I
- 正面または軸側と直径、サイクル 1012 DRESSING D AND A/I
マクロにより簡略化されたドレッシング
機械のマニュアルを参照してください。
機械メーカーは、ドレッシングサイクルにマクロを組み込むことができます。マクロは、ドレッシングモード FUNCTION DRESS の選択、研削ホイールエッジの選択、ドレッシング工具の TOOL CALL などを適用します。 この場合、機械メーカーがドレッシングのプロセスを指定します。
補正方法
研削工具での材料除去
ドレッシングを行う場合、通常は研削工具よりも硬いドレッシング工具を使用します。硬度の違いにより、ドレッシング中の材料除去は主に研削工具で行われます。研削工具に目立った摩耗がないため、プログラミングされたドレッシング値が実際に研削工具から除去されます。この場合、補正方法「補正付き研磨ホイール、COR_TYPE_GRINDTOOL」を研削工具のパラメータ COR_TYPE で使用します。
研削工具表 toolgrind.grd (#156 / #4-04-1)
この補正方法では、ドレッシング工具のパラメータは一定に保たれます。次のように研削工具のみが補正されます:
- 研削工具の基本データ内のプログラミングされたドレッシング値、例: R-OVR
- 研削工具の補正データ内の測定された目標値と実際値の偏差 (dR-OVR など)
ドレッシング工具での材料除去
標準的なケースとは対照的に、特定の研削とドレッシングの組み合わせの場合、材料除去が研削工具で行われるとは限りません。この場合、ドレッシング工具は著しく摩耗します (非常に硬い研削工具と柔らかいドレッシング工具の組み合わせの場合など)。そのようなドレッシング工具の著しい摩耗を補正するために、研削工具のパラメータ COR_TYPE には補正方法「摩耗したドレッシング工具、COR_TYPE_DRESSTOOL」があります。
研削工具表 toolgrind.grd (#156 / #4-04-1)
この補正方法により、ドレッシング工具のパラメータが大きく変化します。研削工具とドレッシング工具の両方が次のように補正されます:
- 研削工具の基本データ内のドレッシング値、例: R-OVR
- ドレッシング工具の補正データ内の測定された摩耗 (DXL など)
補正方法「摩耗したドレッシング工具、COR_TYPE_DRESSTOOL」を使用すると、ドレッシング後に使用したドレッシング工具の工具番号が研削工具のパラメータのパラメータ T_DRESS に保存されます。今後のドレッシングプロセスで、定義されたドレッシング工具が使用されているかどうかが監視されます。他のドレッシング工具を使用すると、エラーメッセージが表示され、処理が停止します。
摩耗を特定して補正できるように、各ドレッシングプロセスの後に研削工具を再度測定する必要があります。
注意事項
- 機械メーカーは機械をドレッシング用に準備する必要があります。必要に応じて、機械メーカーは独自のサイクルを提供します。
- 正しいデルタ値が入力されるように、ドレッシング後に研削工具を計測してください。
- すべての研削工具をドレッシングする必要はありません。工具メーカーの注意事項に従ってください。
- 補正方法「摩耗したドレッシング工具、COR_TYPE_DRESSTOOL」では、傾斜させたドレッシング工具は使用できません。
- アンダーカットのある研削ホイールをドレッシングする場合、切込み角度 Q1023 はアンダーカット以上でなければなりません。切込み角度を小さくプログラミングすると、研削ホイールの寸法精度が失われます。
- 円筒研削加工の前または後に研削工具をドレッシングします。