CYLINDER SURFACE (#8 / #1-01-1) による円筒表面加工

用途

NC 機能 CYLINDER SURFACE では、円筒表面をさまざまな NC 機能で加工することができます (OCM サイクル (#167 / #1-02-1)ポケット加工サイクル、経路機能など)。

条件

  • 少なくとも 1 本の回転テーブル軸を装備した機械
  • モジュロ軸としての回転テーブル軸

  • ソフトウェアオプション Adv. Function Set 1 (#8 / #1-01-1)
  • 円筒が回転テーブルの中央に垂直に固定されている
  • ワーク基準点が円筒の中心および表面にある

  • フライス加工モード FUNCTION MODE MILL
  • NC 機能 PARAX COMP DISPLAY が、少なくとも主軸 XYZ でプログラミングされている
  • ハイデンハインでは、PARAX COMP DISPLAY 機能内で利用可能な軸をすべて指定することを推奨しています。

  • 工具軸 Z での工具呼出し
  • アクティブな座標変換がない (TRANS ROTATION など)
  • 円筒表面加工の加工面:
    • 機械軸に平行な円筒軸
    • 工具軸が機械軸に平行で、円筒軸上で垂直になっている
  •  
    Tip

    軸が直角または 45° に設置された機械は、必要に応じて加工面を旋回させることで、これらの条件を満たします。

    他のキネマティクスでは条件を満たすことができない可能性があります。

機能説明

NC 機能 CYLINDER SURFACE ON を使用して、円筒表面加工を有効にします。NC 機能 CYLINDER SURFACE が有効な場合、作業エリア「位置」にアイコンが表示されます。このアイコンによって NC 機能 PARAX COMP DISPLAY のアイコンが隠れます。

以下の場合には、円筒表面加工が無効になります:

  • CYLINDER SURFACE OFF
  • M2 または M30
  • プログラム終了 END PGM
  • NC プログラムをキャンセルする

円筒表面の展開図上での輪郭または加工サイクルをプログラミングします。プログラミングされた値が円筒表面に適用されます。プログラミングされた送り速度と円筒直径を使用して、回転テーブル軸の送り速度が自動的に計算されます。

機械上の回転軸に関係なく、座標 XY で輪郭または加工サイクルをプログラミングします。X 座標は円筒の円周を表し、回転テーブル軸の位置を定義します。Y 座標は円筒軸上にあります。Z 軸は切込み軸として機能します。

次の表は、円筒表面加工の可能な手順を示しています:

説明

補助図

ワーク基準点は円筒の中心および表面にあります。

加工面を空間角 SPB-90 に旋回させ、工具を Y 軸で値 0 に位置決めします。 加工面は空間角 SPB-90 に旋回しています。

したがって、工具は円筒軸上で垂直になっています。旋回した加工面により、円筒軸と工具軸はそれぞれ機械軸に平行になっています。

NC 機能 CYLINDER SURFACE を有効にします。

ワークゼロ点が工具軸方向に円筒表面へ自動的に移動します。

  • X 座標は円筒の円周を表し、回転テーブル軸の位置を定義します
  • Y 座標は円筒軸上にあります
  • Z 軸は切込み軸として機能します

ワークゼロ点を Y- 方向に移動させます。

円筒表面の展開図上での輪郭をプログラミングします。

完成した輪郭は円筒表面に適用されています。

 
Tip

NC 機能 CYLINDER SURFACE がアクティブな場合、工具はその表面に対して垂直になり、工具の中心が円筒の中心と揃います。X 座標で移動する場合、工具ではなく回転テーブル軸が移動します。

これにより、次のような影響が生じます:

  • Y 座標を使用した輪郭記述の場合、壁は互いに平行ではありません。
  • ポケットなどの底に凹凸がある場合があります。
  • ねじ切りフライス加工サイクルを使用してねじを加工すると、ねじは円錐形になります。
  • 円筒表面加工の場合は、ねじドリル加工サイクルのみを使用してください。

  • タッピング加工

円筒表面加工がアクティブな場合は、次の NC 機能を使用しないでください:

  • M91/M92
  • TOOL CALL
  • M140
  • M144 (#9 / #4-01-1)
  • POLARKIN
  • FACING HEAD POS (#50 / #4-03-1) を使用したフェーシングヘッド
  • 工具半径補正
  • 3D 工具補正 (#9 / #4-01-1)
  • 圧力角に応じた 3D 半径補正 (#92 / #2-02-1)
  • FUNCTION SHAPING (#96 / #7-04-1)
  • FUNCTION TCPM または M128 (#9 / #4-01-1)
  • 回転軸動作
  • PLANE 機能を使用した加工面の旋回
  • FUNCTION MODE を使用した加工モードの切り替え
  • M118 によるハンドホイールオーバーラップ
  • グローバルプログラム設定 GPS (#44 / #1-06-1) によるハンドホイールオーバーラップ

入力

CYLINDER SURFACE ON

ユーザーマニュアルに含まれている NC プログラムは、あくまで解決のヒントです。機械で NC プログラムまたは個々の NC ブロックを使用する前には、必ずそれらを調整してください。

以下に応じて調整を行います。

  • 工具
  • 切断値
  • 送り速度
  • 安全な高さまたは安全な位置
  • 機械特有の位置 (例:M91)
  • プログラム呼出しのパス

一部の NC プログラムは機械キネマティクスに依存しています。このような NC プログラムは、最初のテストランの前にその機械キネマティクスに合わせてプログラムを調整してください。

さらに、実際のプログラムランの前にシミュレーションで NC プログラムをテストしてください。

 
Tip

プログラムをテストすることで、ソフトウェアオプションや有効な機械キネマティクス、現在の機械構成で、その NC プログラムが使用可能かどうかを確認できます。

11 CYLINDER SURFACE ON D99 X AS LIN

:円筒表面加工を有効にして円筒サイズを定義する

この機能には、次のように移動します:

NC機能を挿入 すべての機能 特殊機能 機能 シリンダキネマティクス CYLINDER SURFACE ON

NC 機能には以下の構文要素が含まれます。

構文要素

意味

CYLINDER SURFACE ON

円筒表面加工を有効にするための構文オープナー

R または D

円筒の半径または直径

数字または数値パラメータ

X AS

円筒表面展開図の軸

LIN または DEG

長さまたは角度指定としての円筒表面展開図の座標指定

DEG は現在は機能なし

DEG」を選択すると、エラーメッセージ「ブロックフォーマットが間違っています」が表示されます。

CYLINDER SURFACE OFF

ユーザーマニュアルに含まれている NC プログラムは、あくまで解決のヒントです。機械で NC プログラムまたは個々の NC ブロックを使用する前には、必ずそれらを調整してください。

以下に応じて調整を行います。

  • 工具
  • 切断値
  • 送り速度
  • 安全な高さまたは安全な位置
  • 機械特有の位置 (例:M91)
  • プログラム呼出しのパス

一部の NC プログラムは機械キネマティクスに依存しています。このような NC プログラムは、最初のテストランの前にその機械キネマティクスに合わせてプログラムを調整してください。

さらに、実際のプログラムランの前にシミュレーションで NC プログラムをテストしてください。

 
Tip

プログラムをテストすることで、ソフトウェアオプションや有効な機械キネマティクス、現在の機械構成で、その NC プログラムが使用可能かどうかを確認できます。

11 CYLINDER SURFACE OFF

:円筒表面加工を無効にする

この機能には、次のように移動します:

NC機能を挿入 すべての機能 特殊機能 機能 シリンダキネマティクス CYLINDER SURFACE OFF

NC 機能には以下の構文要素が含まれます。

構文要素

意味

CYLINDER SURFACE OFF

円筒表面加工を無効にするための構文オープナー

注意事項

円筒軸を中心にした基本回転が有効な場合は、円筒表面加工の前に必ず加工面を旋回させる必要があります (PLANE SPATIAL SPA+0 SPB+0 SPC+0 など)。

基本回転と 3D 基本回転

パターン:円筒表面加工のプログラム構成

このパターンは、円筒表面加工の可能なプログラム構成を示しています。

BLK FORM...

TOOL CALL...

必要に応じて、加工面を旋回させる

PLANE SPATIAL...

円筒軸上のプリポジショニング

L X... Y+0 Z...

円筒表面加工を有効にする

CYLINDER SURFACE ON...

必要に応じて、ゼロ点を移動させる

TRANS DATUM...

表面を加工する

CYCL DEF 251 RECTANGULAR POCKET

:ポケット加工サイクルなど

CYCL CALL...

ゼロ点シフトをリセットする

TRANS RESET

円筒表面加工を無効にする

CYLINDER SURFACE OFF

必要に応じて、旋回角度をリセットし、加工面の旋回を無効にする

PLANE RESET...

...

例:CYLINDER SURFACE による長方形ポケット

ブランク BLANK.STL で以下の加工がすでに実行されています:

  • 円形スタッドとしての外径
  • 円形ポケットとしての内径
  • 円形ポケットと円形スタッドの面取り

ユーザーマニュアルに含まれている NC プログラムは、あくまで解決のヒントです。機械で NC プログラムまたは個々の NC ブロックを使用する前には、必ずそれらを調整してください。

以下に応じて調整を行います。

  • 工具
  • 切断値
  • 送り速度
  • 安全な高さまたは安全な位置
  • 機械特有の位置 (例:M91)
  • プログラム呼出しのパス

一部の NC プログラムは機械キネマティクスに依存しています。このような NC プログラムは、最初のテストランの前にその機械キネマティクスに合わせてプログラムを調整してください。

さらに、実際のプログラムランの前にシミュレーションで NC プログラムをテストしてください。

 
Tip

プログラムをテストすることで、ソフトウェアオプションや有効な機械キネマティクス、現在の機械構成で、その NC プログラムが使用可能かどうかを確認できます。

0 BEGIN PGM 1442806 MM

1 BLK FORM FILE "Blank.stl"

2 CALL LBL "RESET"

3 ;

4 * -

:メインプログラム

5 FUNCTION PARAX COMP DISPLAY X Y Z

FUNCTION PARAX COMP DISPLAY を有効にする

6 TOOL CALL "MILL_D10" Z S15000

7 PLANE SPATIAL SPA+0 SPB+90 SPC+0 TURN MB MAX FMAX

:加工面を旋回させる

8 L X+0 Y+0 R0 FMAX M3

:円筒軸上のプリポジショニング

9 ;

10 CYLINDER SURFACE ON D99 X AS LIN

:円筒表面加工を有効にする

11 ;

12 TRANS DATUM AXIS Y-36

:ワークゼロ点を Y- 方向に移動させる

13 CONTOUR DEF P1 = LBL "Pocket"

14 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA ~

Q203=+0

;SURFACE COORDINATE ~

Q201=-10.5

;DEPTH ~

Q368=+0.2

;ALLOWANCE FOR SIDE ~

Q369=+0

;ALLOWANCE FOR FLOOR ~

Q260=+10

;CLEARANCE HEIGHT ~

Q578=+0.2

;INSIDE CORNER FACTOR ~

Q569=+0

;OPEN BOUNDARY

15 CYCL DEF 272 OCM ROUGHING ~

Q202=+10.5

;PLUNGING DEPTH ~

Q370=+0.608

;TOOL PATH OVERLAP ~

Q207=+5951

;FEED RATE MILLING ~

Q568=+0.6

;PLUNGING FACTOR ~

Q253=MAX

;F PRE-POSITIONING ~

Q200=+2

;SET-UP CLEARANCE ~

Q438=+0

;ROUGH-OUT TOOL ~

Q577=+0.2

;APPROACH RADIUS FACTOR ~

Q351=+1

;CLIMB OR UP-CUT ~

Q576=+15000

;SPINDLE SPEED ~

Q579=+1

;PLUNGING FACTOR S ~

Q575=+0

;INFEED STRATEGY

16 CYCL CALL

17 CYCL DEF 274 OCM FINISHING SIDE ~

Q338=+10.5

;INFEED FOR FINISHING ~

Q385=+2500

;FINISHING FEED RATE ~

Q253=MAX

;F PRE-POSITIONING ~

Q200=+2

;SET-UP CLEARANCE ~

Q14=+0

;ALLOWANCE FOR SIDE ~

Q438=-1

;ROUGH-OUT TOOL ~

Q351=+1

;CLIMB OR UP-CUT

18 CYCL CALL

19 TRANS RESET

:ゼロ点シフトをリセットする

20 ;

21 CYLINDER SURFACE OFF

:円筒表面加工を無効にする

22 ;

23 CALL LBL "RESET"

24 TOOL CALL "CHAMFERING_D10" Z S15000

25 PLANE SPATIAL SPA+0 SPB+90 SPC+0 TURN MB MAX FMAX

:加工面を旋回させる

26 L X+0 Y+0 R0 FMAX M3

:円筒軸上のプリポジショニング

27 ;

28 CYLINDER SURFACE ON D99 X AS LIN

:円筒表面加工を有効にする

29 ;

30 TRANS DATUM AXIS Y-36

:ワークゼロ点を Y- 方向に移動させる

31 CONTOUR DEF P1 = LBL "Pocket"

32 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA ~

Q203=+0

;SURFACE COORDINATE ~

Q201=-10.5

;DEPTH ~

Q368=+0

;ALLOWANCE FOR SIDE ~

Q369=+0

;ALLOWANCE FOR FLOOR ~

Q260=+10

;CLEARANCE HEIGHT ~

Q578=+0.2

;INSIDE CORNER FACTOR ~

Q569=+0

;OPEN BOUNDARY

33 CYCL DEF 277 OCM CHAMFERING ~

Q353=-2

;DEPTH OF TOOL TIP ~

Q359=+0.5

;CHAMFER WIDTH ~

Q207=+2000

;FEED RATE MILLING ~

Q253=MAX

;F PRE-POSITIONING ~

Q200=+2

;SET-UP CLEARANCE ~

QS438="MILL_D10"

;ROUGH-OUT TOOL ~

Q351=+1

;CLIMB OR UP-CUT ~

Q354=+0

;CHAMFER ANGLE ~

Q240=+1

;NUMBER OF CUTS

34 CYCL CALL

35 TRANS RESET

:ゼロ点シフトをリセットする

36 ;

37 CYLINDER SURFACE OFF

:円筒表面加工を無効にする

38 FUNCTION PARAX COMP OFF X Y Z

FUNCTION PARAX COMP を無効にする

39 ;

40 CALL LBL "RESET"

41 M30

42 ;

43 * -

:サブプログラム

44 LBL "Pocket"

45 L X+25 Y+31

46 L X+25 Y+5

47 L X-25 Y+5

48 L X-25 Y+31

49 L X+25 Y+31

50 LBL 0

51 ;

52 LBL "SAFE"

53 M140 MB+50

54 L Z+300 R0 FMAX M91

55 L X+400 Y-300 R0 FMAX M91

56 LBL 0

57 ;

58 LBL "RESET"

59 FUNCTION RESET TCPM

60 M140 MB+50

61 CALL LBL "SAFE"

62 TRANS DATUM RESET

63 PLANE RESET TURN FMAX

64 LBL 0

65 END PGM 1442806 MM

説明

モジュロ軸
モジュロ軸は、エンコーダが 0°~359.9999°の値のみを出力する軸です。軸がスピンドルとして使用される場合、機械メーカーはこの軸をモジュロ軸として構成する必要があります。