ディスプレイハンドホイール

用途

この章には、ディスプレイハンドホイール HR 520、HR 520 FS、HR 550 FS に固有の情報が記載されています。ディスプレイハンドホイールを使用すると、ディスプレイなしのハンドホイールにはない追加の機能を実行できます。

機能説明

操作エレメント

ディスプレイハンドホイールには、次の操作エレメントがあります:

1

2

側面のハンドホイール許可キー

3

軸キー

4

ソフトキー選択キー

ハンドホイールのソフトキー

5

非常停止」キー

6

ディスプレイ

ディスプレイ内容

7

速度レベル

速度レベル

8

移動方向と早送りのキー

9

現在位置を取り込む」キー

現在の位置で NC ブロックを生成する

10

機械メーカーが設定できるキー (スピンドルオン、NC スタート、または NC ストップなど)

11

調整ホイール

12

回転数および送り速度ポテンショメータ

ディスプレイ内容

ハンドホイールのディスプレイには以下のエリアがあります:

1

ドッキングステーションにハンドホイールがあるか、または無線モードが有効であるか

無線ハンドホイール HR 550 FS の場合のみ

2

電波強度、最大 6 本

無線ハンドホイール HR 550 FS の場合のみ

3

バッテリー充電レベル、最大 6 本

無線ハンドホイール HR 550 FS の場合のみ

4

選択された軸と現在の位置

5

制御装置作動中

プログラムランが開始されたか、軸が動いている

6

M118 またはグローバルプログラム設定 GPS (#44 / #1-06-1) を使用したハンドホイールオーバーラップ

M118 を使用してハンドホイールオーバーラップを有効にする

「ハンドホイール・オーバーラップ」機能

7

アクティブなスピンドルの現在の回転数

8

選択した軸の現在の送り速度

プログラムラン中の現在の経路送り速度

9

保留中のエラーメッセージ

10

3-D回転」ウィンドウの有効な設定:

  • VT:「ツール軸」機能
  • WP:「基本ローテーション:」機能
  • WPL:「3Dローテーション」機能

「3-D回転 (#8 / #1-01-1)」ウィンドウ

11

調整ホイールノッチあたりの移動距離

速度レベル

12

ステップ方式位置決めが有効または無効およびステップ単位

ステップ方式位置決め

13

ハンドホイールのソフトキー

ハンドホイールのソフトキー

ハンドホイールのソフトキー

ハンドホイールのソフトキーを使用して、次の機能を選択できます:

ソフトキー

キー

意味

AX

F1

機械軸を選択する

STEP

F2

ステップ方式位置決めを有効化または無効化し、ステップ単位を選択する

ステップ方式位置決め

MSF

F3

切削データ、追加機能、基準点を定義する

スピンドル回転数 S を定義する

OPM

F4

操作モードを選択する

MA

F5

機械固有の機能を実行する (マガジンスロットを切り替えるなど)

MOP

F3

手動オプションを選択する

プログラムランが NC ストップで中断された場合のみ

操作モード

OPM」を押すと、次の操作モードを選択できます:

ソフトキー

キー

意味

MAN

F1

操作モード「手動

MDI

F2

操作モード「手動」の「MDI」アプリケーション

RUN

F3

操作モード「プログラム実行

SGL

F4

操作モード「プログラム実行」の「単一ブロック」モード

プログラムランでの機能

MOP」を押すと、次の機能を選択できます:

ソフトキー

キー

意味

MAN

F1

手動移動

STOP

F4

内部ストップ

このレイヤーで「MAN」を押すと、次の機能を選択できます:

ソフトキー

キー

意味

REPO

F1

輪郭への再接近

3D

F2

加工面の旋回機能の設定

速度レベル

上下矢印キーで速度レベルを選択します。

ハンドホイールは、選択したレベルの値をディスプレイの RES の後ろに表示します。調整ホイールを 1 ノッチ回すと、軸の単位でこの値分だけ移動します。

キー

意味

速度レベルを上げる

速度レベルを下げる

 
Tip

ディスプレイハンドホイールの場合、速度レベルはノッチあたりの距離のみを定義し、方向キーによる移動動作の送り速度は定義しません。

送り速度をソフトキー MSF で定義します。

ハンドホイール送り速度 F を定義する

無線ハンドホイール HR 550 FS の特徴

無線ハンドホイール HR 550 FS を使用すると、有線のハンドホイールよりも機械操作パネルから遠くへ離れることができます。このような理由から、無線ハンドホイール HR 550 FS には特に大型機械でメリットがあります。

ハンドホイールホルダ HRA 551 FS およびハンドホイール HR 550 FS は 1 つの機能ユニットを形成しています。

ハンドホイール HR 550 FS

ハンドホイールホルダ HRA 551 FS

無線ハンドホイール HR 550 FS には、蓄電池が装備されています。ハンドホイールをハンドホイールホルダに入れるとすぐに、蓄電池が充電されます。

HR 550 FS は、次に充電が必要になるまで蓄電池で最大 8 時間駆動できます。完全に放電したハンドホイールは、フル充電するのに約 3 時間を要します。 HR 550 FS を使用しないときは、必ずハンドホイールホルダに入れてください。それにより、ハンドホイールのバッテリーが常に充電された状態に維持され、非常停止回路との直接の接点接続もあります。

ハンドホイールがハンドホイールホルダに入っているときは、無線モード時と同じ機能が使用できます。それによって、完全に放電したハンドホイールも使用できます。

 
Tip

ハンドホイールホルダとハンドホイールの接点を定期的に清掃して、正常に機能するようにしてください。

無線ハンドホイールは「TNCdiag」アプリケーションでセットアップします。

無線ハンドホイールのセットアップ

コントローラが緊急停止を作動させた場合、ハンドホイールを再びオンにする必要があります。

無線伝送範囲の端にくると、HR 550 FS が振動アラームで警告します。その場合は、ハンドホイールホルダまでの距離を短くしてください。

ディスプレイハンドホイールの有効化と無効化

 
注意事項
ワークピースの損傷に注意してください
機械操作フィールドとハンドホイールを切り替える場合、送り速度が減少することがあります。このことは、ワークピース上に目に見えるマークがつく原因になることがあります。
  1. 切り替える前に工具を退避させます
  2. 切り替える前に、送り速度ポテンショメータの位置が同じかどうかを確認します

ディスプレイハンドホイールは次のように有効にします:

    1. ハンドホイールの「ハンドホイール」キーを押します
    2. ハンドホイールが有効になり、操作モード「手動」のアイコンが変化します。
    3. 作業エリア「位置」の現在選択されている軸でハンドホイールアイコンが表示されます。

    1. 必要に応じて、送り速度ポテンショメータの位置を調整します

    ディスプレイハンドホイールは次のように無効にします:

      1. ハンドホイールの「ハンドホイール」キーを押します
       
      Tip

      送り速度ポテンショメータも有効化または無効化されます。

      切り替え前の送り速度が切り替え後の送り速度よりも大きい場合、コントローラは送り速度を小さい方の値に下げます。

      切り替え前の送り速度が切り替え後の送り速度よりも小さい場合、コントローラは値が動かないように固定します。この場合、送り速度ポテンショメータを前の値まで回して戻す必要があります。その後に、有効にした送り速度ポテンショメータが作用します。

      現在の位置で NC ブロックを生成する

       
      Machine

      機械のマニュアルを参照してください。

      機械メーカーは、ハンドホイールキーに任意の機能を割り当てることができます。「現在位置を取り込む」キーは、ご使用のハンドホイールにない場合があります。

      次のようにハンドホイールを使用して NC ブロックを生成します:

        1. 操作モード「手動」を選択します

        1. MDI」アプリケーションを選択します
        2. 必要に応じて、後ろに NC ブロックを挿入したい場合は、その NC ブロックを選択します
        3. ハンドホイールをオンにします

        1. 現在位置を取り込む」キーを押します
        2. 定義されたすべての軸の実際位置を含む直線 L が挿入されます。
         
        Tip

        機械パラメータ actPosAxes (No. 105415) を使用して、「現在位置を取り込む」キーで直線 L をどの軸で作成するのか定義します。

        スピンドル回転数 S を定義する

        有効なスピンドルの回転数 S をディスプレイハンドホイールで次のように定義します:

        1. ハンドホイールのソフトキー「MSF」を押します
        2. ハンドホイールのソフトキー「S」を押します
        3. F1 および F2 キーで希望の回転数を選択します
        4. 定義された回転数がディスプレイの S の後ろに表示されます。
        5. NC スタート」キーを押します
        6. 定義された回転数が有効になります。
         
        Tip

        F1 または F2 キーを押したままにすると、ハンドホイールの値が増減します。長く押すほど、増減ステップが大きくなります。

        CTRL キーも押すと、ハンドホイールはより大きな増減ステップで開始します。

        ハンドホイール送り速度 F を定義する

        送り速度 F をディスプレイハンドホイールで次のように定義します:

        1. ハンドホイールのソフトキー「MSF」を押します
        2. ハンドホイールのソフトキー「F」を押します
        3. F1 および F2 キーで希望の送り速度を選択します
        4. OK」を押します
        5. 新しい送り速度をハンドホイールのソフトキー OK で適用します

        1. 軸キーを押します

        1. 移動方向キーを押します
        2. 定義された送り速度で軸が移動します。
         
        Tip

        F1 キーまたは F2 キーを押し続けると、カウントステップが、10 の位が変わるたびに 10 倍になります。

        さらに CTRL キーを押して、F1 キーまたは F2 キーを押すと、カウントステップが 100 倍になります。

        ステップ方式位置決め

        ステップ方式位置決めでは、キーを押すごとに選択した軸が定義された値分だけ移動します。

         
        Tip
        • ステップ方式位置決めは、方向キーを使用した移動動作でのみ機能します。
        • ハンドホイールとコントローラ間でステップ方式位置決めの設定が合わせられます。

        ディスプレイハンドホイールの場合は、次のようにステップ方式で位置決めします:

        1. ハンドホイールのソフトキー「STEP」を押します
        2. ハンドホイールのソフトキー「ON」を押します
        3. ステップ方式位置決めが有効になります。
        4. F1 および F2 キーで希望のステップ単位を選択します
        5. 定義されたステップ単位がディスプレイの STEP の後ろに表示されます。
        6.  
          Tip

          最小ステップ単位は 0.0001 mm (0.00001 インチ) です。最大ステップ単位は 10 mm (0.3937 インチ) です。

        7. ステップ単位をハンドホイールのソフトキー「OK」で適用します

        1. 軸キーを押します

        1. 移動方向キーを押します
        2. 定義されたステップ単位で軸が移動します。
         
        Tip

        F1 キーまたは F2 キーを押し続けると、カウントステップが、10 の位が変わるたびに 10 倍になります。

        さらに CTRL キーを押して、F1 キーまたは F2 キーを押すと、カウントステップが 100 倍になります。

        無線ハンドホイールと関連した注意事項

         
        危険
        ユーザーの危険に注意!
        無線ハンドホイールは充電池で動作し、ケーブル接続の場合より他の無線装置による電波ノイズの影響を受けやすくなっています。 安全に使用するための条件および注意に従わないと、メンテナンス作業や設定作業の際などにユーザーに危険が及ぶおそれがあります。
        1. ハンドホイールの無線接続と他の無線装置が干渉していないか点検します
        2. 遅くとも 120 時間の動作後には、ハンドホイールとハンドホイールホルダをオフにして、次回の再起動時に機能テストが実行されるようにします (ハンドホイール 598515-03、606622-03 およびホルダ 731928-02 の場合のみ)
        3. 工場内で複数の無線ハンドホイールを使用する場合は、ハンドホイールホルダとそのハンドホイールが取り違えられないように対策を講じてください (カラーステッカーなど)
        4. 工場内で複数の無線ハンドホイールを使用する場合は、機械とそのハンドホイールが取り違えられないように対策を講じてください (機能テストなど)
         
        注意事項
        工具とワークへの危険に注意!
        機能中断、充電池の完全放電または故障の際、無線ハンドホイールによって緊急停止反応が作動します。 加工中に緊急停止反応が作動すると、工具やワークが損傷するおそれがあります。
        1. ハンドホイールを使用しないときはハンドホイールホルダに入れておきます
        2. ハンドホイールとハンドホイールホルダ間の距離を短く保ちます (振動アラームに注意)
        3. 加工前にハンドホイールのテストを行ってください
        • すでに選択されている無線チャンネルに無線ハンドホイールを接続すると、警告が表示されます。