基本事項
機械およびキネマティクスに応じて、フライス加工も旋削加工もフライス機械で実行できます。これにより、複雑なフライス加工や旋削加工が必要な場合でも、1 台の機械でワークピースを完全に加工できます。
旋削加工の場合、回転テーブルと固定したワークピースが回転動作を実行している間、工具は固定位置にあります。
旋削加工の場合の NC の基本事項
軸の配置は、回転時に、X 座標がワークの直径を示し、Z 座標が縦の位置を示すように設定されます。
また、プログラミングは常に ZXで行われます。どの機械軸を実際の動作に利用するかは、それぞれの機械のキネマティクスによって異なり、機械メーカーによって設定されます。そのため、旋削機能を含む NC プログラムは、機械キネマティクスからほとんど独立しています。
旋削加工の場合のワーク基準点
NC プログラム内でフライス加工モードと旋削加工モードを簡単に切り替えることができます。旋削加工モードの間、回転テーブルは回転スピンドルとして機能し、フライススピンドルは工具で固定されます。これにより、回転対称輪郭が生成されます。そのためには、工具基準点は回転スピンドルの中心になければなりません。
フェーシングヘッドを使用する場合は、ワーク基準点を別の箇所に設定することもできます。この場合、工具スピンドルが旋削加工を行うからです。
加工プロセス
加工方向と加工作業の内容に応じて、旋削加工はさまざまな加工プロセスに分けられます。例えば:
- 長手旋削
- 平面旋削
- 突切りターニング
- ねじ切り旋削
さまざまな加工プロセスに対して、それぞれ複数のサイクルが用意されています。
アンダーカットの作成などのために、傾斜させた工具でサイクルを使用することもできます。
旋削加工用工具
旋削工具を管理する場合、フライス工具やドリル工具の場合とは異なる形状の記述が必要です。例えば、切刃半径補正を行うには、切刃半径の定義が必要です。コントローラでは、旋削工具用の特別な工具表が用意されています。工具マネージャの作業エリア「フォーム」には、現在の工具タイプに必要なパラメータのみ表示されます。
旋削工具 (#50 / #4-03-1) の場合の切削半径補正 SRK
NC プログラムで旋削工具を補正できます。
そのために、次の機能があります:
- 切刃半径補正
- 補正表
- FUNCTION TURNDATA CORR 機能
注意事項
- 工具はスピンドル中心に固定する
- 工具を確実に固定する
- 低い回転数をプログラミングする (必要に応じて上げる)
- 回転数を制限する (必要に応じて上げる)
- アンバランスを取り除く (較正する)
- 工具スピンドルの方向 (スピンドル角度) は加工方向に応じて決まります。 外部加工の際には、工具刃先を回転スピンドルの中心に向けます。 内部加工の際には、工具は回転スピンドルの中心を向いていません。
加工角度を変更した後は (外部加工および内部加工)、スピンドル回転方向を調整する必要があります。
- 旋削加工の際、工具刃と回転スピンドルの中心が同じ高さでなければなりません。 そのため旋削加工モードでは、事前に工具を回転スピンドル中心の Y 座標に位置合わせしておく必要があります。
- 旋削加工モードでは、X 軸の位置表示に直径値が表示されます。 コントローラには追加の直径マークが表示されます。
- 旋削加工モードでは、回転スピンドル (回転テーブル) 用のスピンドルポテンショメーターが作用します。
- 旋削加工モードでは、ゼロ点シフト以外に座標変換用のサイクルを使用できません。
- 旋削加工モードでは、基準点表からの SPA 変換、SPB 変換、SPC 変換はできません。これらの変換のいずれかが有効になっていると、旋削加工モードでの NC プログラムの処理中に「変換できません」というエラーメッセージが表示されます。
- 旋削加工サイクル (#50 / #4-03-1) で移動動作を生成するために「BLK FORM」機能は使用しません。この場合、FUNCTION TURNDATA BLANK を定義してください。
旋削加工モードでの FUNCTION TURNDATA BLANK (#50 / #4-03-1) によるブランクのトラッキング
- グラフィックシミュレーションによって計算される加工時間と実際の加工時間は一致しません。 フライス加工と旋削加工を組み合わせる場合、その原因は加工モードの切り替えです。