基本事項

用途

OCM サイクルは、工具に優しい加工のための非常に効率的な粗加工および仕上加工サイクルを提供します。OCM サイクルを使用すると、ポケットやアイランドをフライス加工するための複雑な動きが自動的に計算されます。ポケットやアイランドに加え、開いたポケットも加工できます。粗加工時に、入力された圧力角が正確に維持されます。

プログラミング中に、OCM切削データ計算機から最適な加工パラメータを直接適用できます。OCM切削データ計算機は、統合されている広範な材料データベースを使用します。自動計算された切削値を、工具にかかる機械的負荷と熱的負荷に応じて的確に調整し、粗加工サイクルに適用することができます。

標準形状の加工の場合、OCM は他の OCM サイクルと組み合わせて面フライス加工のポケット、アイランド、境界として使用できるさまざまな幾何学的図形を提供します。

 
Tip

OCM サイクルは、サイクル 2224 より優れています。

関連項目

OCM サイクルの概要 (#167 / #1-02-1)

加工サイクル

サイクル

呼出し

詳細情報

271

OCM CONTOUR DATA

  • 輪郭プログラムないしはサブプログラム用の加工情報の定義
  • 制限枠または制限ブロックの入力

DEF 有効

272

OCM ROUGHING

  • 輪郭粗加工のための技術データ
  • OCM 切削データ計算機の使用
  • 垂直方向、らせん状または往復運動のプランジ動作
  • 切込み方法が選択可能

CALL 有効

273

OCM FINISHING FLOOR

  • サイクル 271 の床面許容値で仕上加工します
  • 一定の圧力角または等距離 (変化しない) の経路計算による加工方法

CALL 有効

274

OCM FINISHING SIDE

  • サイクル 271 の側面許容値で仕上加工します

CALL 有効

277

OCM CHAMFERING

  • エッジをばり取りします
  • 隣接する輪郭および内壁の考慮

CALL 有効

OCM:幾何学図形

サイクル

呼出し

詳細情報

1271

OCM RECTANGLE

  • 長方形の定義
  • 側面長さの入力
  • コーナーの定義

DEF 有効

1272

OCM CIRCLE

  • 円の定義
  • 直径の入力

DEF 有効

1273

OCM SLOT / RIDGE

  • スロットおよびブリッジの定義
  • 幅および長さの入力

DEF 有効

1274

OCM CIRCULAR SLOT

  • 円形スロットの定義
  • 幅、部分円、反復回数の入力

DEF 有効

1278

OCM POLYGON

  • 多角形の定義
  • 基準円の入力
  • コーナーの定義

DEF 有効

1281

OCM RECTANGLE BOUNDARY

  • 長方形で制限を定義

DEF 有効

1282

OCM CIRCLE BOUNDARY

  • 円で制限を定義

DEF 有効

条件

  • ソフトウェアオプション Opt. Contour Milling (#167 / #1-02-1)
  • 機械のマニュアルを参照してください。 機械メーカーの機能説明を読み、それに従ってください。 安全上の注意事項に従ってください。
  • OCM サイクルは広範かつ複雑な計算を内部で行い、そこから得られる加工を実行します。安全のため、処理の前に必ず グラフィックでテストしてください。それによって、コントローラが計算した加工が正しく進行するかどうかを簡単に確認できます。

機能説明

プログラム構成

パターン:OCM サイクルを使用した処理

次の表は、OCM サイクルを使用したプログラムランの例を示しています。

0 BEGIN OCM MM

...

12 CONTOUR DEF:輪郭呼出しまたは図形サイクルの定義

...

13 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA:輪郭定義でのみ必要

...

16 CYCL DEF 272 OCM ROUGHING

...

17 CYCL CALL

...

20 CYCL DEF 273 OCM FINISHING FLOOR

...

21 CYCL CALL

...

24 CYCL DEF 274 OCM FINISHING SIDE

...

25 CYCL CALL

...

35 CYCL DEF 277 OCM CHAMFERING

36 CYCL CALL

...

50 L Z+250 R0 FMAX M2

51 LBL 1

...

55 LBL 0

56 LBL 2

...

60 LBL 0

...

99 END PGM OCM MM

輪郭定義

OCM 図形サイクル

OCM 図形サイクルは、図形としてポケット、アイランドまたは境界が可能です。アイランドまたは開いたポケットをプログラミングするには、サイクル 128x を使用します。

図形定義のための OCM サイクル

 
Tip

図形は、OCM 輪郭データを再定義し、前もって定義したサイクル 271 OCM CONTOUR DATA または図形境界の定義を更新します。

輪郭式

輪郭は CONTOUR DEF / SEL CONTOUR または OCM 図形サイクル 127x により定義します。

閉じたポケットは、サイクル 14 でも定義できます。

フライス加工深さ、許容値、セットアップ許容値などの加工用の寸法データは、サイクル 271 OCM CONTOUR DATA または図形サイクル 127x において中央で入力します。

CONTOUR DEF / SEL CONTOUR

CONTOUR DEF / SEL CONTOUR で最初の輪郭は、ポケットまたは境界にすることが可能です。その後に続く輪郭をアイランドまたはポケットとしてプログラミングします。開いたポケットは、境界およびアイランドによりプログラミングします。

 
Tip

プログラミング上の注意:

  • 最初の輪郭の外側に存在する後続輪郭 (Folgekontur) は考慮されません。
  • 部分輪郭の最初の床面は、サイクルの床面です。プログラミングされた輪郭はこの床面に制限されます。その他の部分輪郭は、サイクルの床面よりも深くできません。そのため、原則的に最も深いポケットから始めます。

関連項目

圧力角

粗加工時に、圧力角が正確に維持されます。圧力角は、経路オーバーラップを介して間接的に定義します。経路オーバーラップは、最大限、値 1.99 を有し、この値は約 180°の角度に相当します。

OCM サイクルのポジショニングロジック

工具は現在、安全な高さの上方に位置決めされています:

  1. 工具は加工面内で早送りで始点に移動します。
  2. 工具は FMAXQ260 CLEARANCE HEIGHT に移動し、次に Q200 に移動します SET-UP CLEARANCE
  3. その後、工具は工具軸で Q253 F PRE-POSITIONING により始点に位置決めされます。

工具は現在、安全な高さの下方に位置決めされています:

  1. 工具は早送りで Q260 CLEARANCE HEIGHT に移動します。
  2. 工具は FMAX で加工面の始点に移動し、次に Q200 SET-UP CLEARANCEの位置に移動します。
  3. その後、工具は工具軸で Q253 F PRE-POSITIONING により始点に位置決めされます
 
Tip

プログラミング上および操作上の注意:

  • Q260 CLEARANCE HEIGHT がサイクル 271 OCM CONTOUR DATA または図形サイクルから適用されます。
  • Q260 安全な高さの位置がセットアップ許容値より上にある場合のみ、CLEARANCE HEIGHT が作用します。

残材の加工

このサイクルは、粗加工時に大きな工具で前もって加工してから小さな工具で残材を除去する方法を提供します。仕上加工時も、事前に除去した材料が確認され、仕上加工工具の過剰な負担がなくなります。

例:OCM サイクルによる開いたポケットおよび仕上ブローチ加工

 
Tip
  • 粗加工後に残材が内側のコーナーに残っている場合、小型のブローチ工具を使用するか、小型の工具による追加の粗加工工程を指定します。
  • 内側のコーナーの残材を完全に除去できないと、面取りの際に輪郭を損傷するおそれがあります。輪郭の損傷を防ぐために、以下の手順に注意してください。

内側コーナーの残材除去の手順

この例は、プログラミングされた輪郭より大きな半径を持つ複数の工具による輪郭の内側加工を示しています。工具半径が小さくなるにもかかわらず、残材の除去後も輪郭の内側コーナーに残材が残り、コントローラは以下の仕上加工と面取りの際にそれを考慮します。

この例では以下の工具を使用します:

  • MILL_D20_ROUGHØ 20 mm
  • MILL_D10_ROUGHØ 10 mm
  • MILL_D6_FINISHØ 6 mm
  • NC_DEBURRING_D6Ø 6 mm
半径 4 mm のこの例の内側コーナー

粗加工

  1. 工具 MILL_D20_ROUGH で輪郭を仮粗加工します
  2. Q パラメータ Q578 INSIDE CORNER FACTOR が考慮され、それによって仮粗加工では内側半径が 12 mm になります。

...

12 TOOL CALL Z "MILL_D20_ROUGH"

...

15 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA

...

     Q578 = 0.2 ;INSIDE CORNER FACTOR

...

結果として得られる内側半径 =

RT+ (Q578 * RT)

10 + (0,2 *10) = 12

16 CYCL DEF 272 OCM ROUGHING

...

  1. より小さい工具 MILL_D10_ROUGH で輪郭を再粗加工します
  2. Q パラメータ Q578 INSIDE CORNER FACTOR が考慮され、それによって仮粗加工では内側半径が 6 mm になります。

...

20 TOOL CALL Z "MILL_D10_ROUGH"

...

22 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA

...

     Q578 = 0.2 ;INSIDE CORNER FACTOR     

...

結果として得られる内側半径 =

RT+ (Q578 * RT)

5 + (0,2 *5) = 6

23 CYCL DEF 272 OCM ROUGHING

...

     Q438 = -1 ;ROUGH-OUT TOOL     

...

-1:最後に使用される工具がブローチ工具として認識されます

仕上加工

  1. 工具 MILL_D6_FINISH で輪郭を仕上加工します
  2. 仕上加工工具により、内側半径が 3.6 mm になることがあります。これは、仕上加工工具が設定された 4 mm の内側半径に対応できることを意味します。ただし、コントローラではブローチ工具 MILL_D10_ROUGH の残材が考慮されます。コントローラでは、前の粗加工工具の 6 mm の内側半径で輪郭が処理されます。こうすることで、仕上加工カッターの過剰な負担がなくなります。

...

27 TOOL CALL Z "MILL_D6_FINISH"

...

29 CYCL DEF 271 OCM CONTOUR DATA

...

     Q578 = 0.2 ;INSIDE CORNER FACTOR

...

結果として得られる内側半径 =

RT+ (Q578 * RT)

3 + (0,2 *3) = 3,6

30 CYCL DEF 274 OCM FINISHING SIDE

...

     Q438 = -1 ;ROUGH-OUT TOOL

...

-1:最後に使用される工具がブローチ工具として認識されます

  1. 輪郭の面取り:サイクルを指定する際に、粗加工工程の最終ブローチ工具を指定する必要があります。
  2.  
    Tip

    仕上加工工具をブローチ工具として使用すると、輪郭が損傷します。コントローラはこの場合、仕上加工カッターが 3.6 mm の内側半径で輪郭を加工したことを前提とします。ただし、仕上加工カッターは前の粗加工により内側半径を 6 mm に限定しています。

...

33 TOOL CALL Z "NC_DEBURRING_D6"

...

35 CYCL DEF 277 OCM CHAMFERING

...

     QS438 = "MILL_D10_ROUGH" ;ROUGH-OUT TOOL

...

最後の粗加工工程のブローチ工具