サイクル 453 KINEMATICS GRID (#48 / #2-01-1)

ISO プログラミング

G453

用途

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

ソフトウェアオプション KinematicsOpt (#48 / #2-01-1) が必要です。

この機能は、機械メーカーが使用可能にして、調整する必要があります。

このサイクルを使用できるようにするには、機械メーカーが事前に補正表 (*.kco) を作成し、さらに設定を行う必要があります。

ご使用の機械が既に位置エラーに関して最適化されていた場合でも (例えば、サイクル 451 による)、回転軸の旋回時に工具中心点 (TCP) に残留エラーが残る場合があります。このようなエラーは、例えば、ヘッド回転軸の構成部品の故障 (ベアリングの故障など) に起因する場合があります。

サイクル 453 KINEMATICS GRID では、回転軸の位置に応じて傾斜ヘッドのエラーを検知して、補正することができます。このサイクルで補正値を書き込もうとする場合、サイクルにソフトウェアオプション KinematicsComp (#52 / #2-04-1) が必要になります。このサイクルでは、機械テーブルに固定したハイデンハイン較正球を 3D タッチプローブ TS で測定します。このサイクルは次に、較正球の周りにグリッドの形に配置された位置にタッチプローブを自動的に動かします。この傾斜軸位置は機械メーカーが設定します。これらの位置は 3 次元にまで及ぶ場合があります。(各寸法は回転軸)。球でのプロービングプロセスの後、多次元表によるエラーの補正ができます。この補正表 (*.kco) は、機械メーカーが指定します。機械メーカーはこの表の保管場所も定義します。

サイクル 453 で作業する場合は、作業空間の様々な位置でサイクルを実行します。そのため、サイクル 453 による補正で機械精度に望ましい好影響があるかどうかをすぐに確認できます。これらの補正値により、複数の位置で望ましい改善が実現される場合にのみ、この補正方法がその機械に適していることになります。そうでない場合は、回転軸以外のエラーを検索してください。

回転軸位置エラーが最適な状態で、サイクル 453 による測定を実施してください。そのために、事前にサイクル 451 などで作業します。

 
Tip

ハイデンハインは較正球 KKH 250 (注文番号 655475-01) または KKH 100 (注文番号 655475-02) の使用をお勧めします。これらの較正球は高剛性で、機械較正専用に設計されています。ご希望の場合は、ハイデンハインまでご連絡ください。

コントローラにより機械の精度が最適化されます。このために、測定プロセスの最後に補正値が自動的に補正表 (*kco) に保存されます。(モード Q406=1 の場合)

サイクルシーケンス

  1. 較正球を固定し、衝突の可能性がないか確認します
  2. 手動操作モードで基準点を球の中心に設定します。または、Q431=1 あるいは Q431=3 が定義されている場合は、タッチプローブ軸上で手動でタッチプローブを較正球の上に動かして、加工面で球の中心に位置決めします
  3. プログラムランモードを選択し、NC プログラムを起動します
  4. Q406 (-1=削除 / 0=点検 / 1=補正) に応じて、サイクルが実行されます
 
Tip

基準点設定の間、プログラミングされた較正球の半径は 2 番目の測定時にのみ監視されます。較正球に対するプリポジショニングが不正確なときに基準点設定が行われると、較正球が 2 回プロービングされるからです。

さまざまなモード (Q406)

削除モード Q406 = -1 (#52 / #2-04-1)

  • 軸の動作は行われません
  • 補正表 (*.kco) のすべての値が「0」と記述され、これにより、現在選択されているキネマティクスには追加の補正は作用しなくなります

点検モード Q406 = 0

  • 較正球に対するプロービングが実行されます。
  • その結果は、プロトコルに html 形式で保存され、現在の NC プログラムも含む同じフォルダに保存されます

補正モード Q406 = 1 (#52 / #2-04-1)

  • 較正球に対するプロービングが実行されます
  • 偏差が補正表 (*.kco) に書き込まれ、その表は更新され、補正がすぐに有効になります
  • その結果は、プロトコルに html 形式で保存され、現在の NC プログラムも含む同じフォルダに保存されます

機械テーブル上の較正球の位置選択

較正球は基本的に機械テーブルの接近可能などの位置にも取り付け可能ですが、クランプ装置やワークピースに固定することも可能です。 ただし、後で加工する位置のできるだけ近くに較正球を固定することをお勧めします。

 
Tip

測定プロセス中に衝突が起きないように、機械テーブル上の較正球の位置を選んでください。

注意事項

 
Machine

ソフトウェアオプション KinematicsOpt (#48 / #2-01-1) が必要です。

ソフトウェアオプション KinematicsComp (#52 / #2-04-1) が必要です。

この機能は、機械メーカーが使用可能にして、調整する必要があります。

機械メーカーが補正表 (*.kco) の保管場所を定めます。

 
注意事項
衝突の危険に注意!
このサイクルを処理する場合、基本回転または 3D 基本回転が有効になっていてはなりません。場合によっては、基準点表の SPASPB および SPC 列の値が削除されます。このサイクルの後、基本回転または 3D 基本回転を再度設定する必要があります。そうしないと、衝突の危険があります。
  1. このサイクルの処理前に基本回転を無効にします。
  2. 最適化の後に基準点および基本回転を再度設定します
  • このサイクルは、加工モード FUNCTION MODE MILL でのみ実行可能です。
  • サイクル開始前に、M128 または FUNCTION TCPM がオフになっていることを確認してください。
  • サイクル 453451452 と同じように、回転軸の位置と一致する自動モードのアクティブな 3D-ROT で終了します。
  • サイクル定義の前に較正球の中心に基準点を設定して、それを有効にするか、入力パラメータ Q431 を相応に 1 または 3 に定義する必要があります。
  • コントローラはタッチプローブ軸のプロービング高さへ接近するためのポジショニング送り速度として、サイクルパラメータ Q253 とタッチプローブ表の FMAX の小さい方の値を使用します。回転軸動作は基本的にポジショニング送り速度 Q253 で行われ、その際プローブのモニタリングは無効になります。
  • インチプログラミング:測定結果とプロトコルデータは基本的に mm で出力されます。
  • 基準点設定を測定前に有効にした場合は (Q431 = 1/3)、サイクル開始前にタッチプローブをセットアップ許容値 (Q320 + SET_UP) 分だけ較正球上方のほぼ中央にポジショニングしてください。
 
Tip
  • 制御されるスピンドルが機械に装備されている場合は、タッチプローブ表 (TRACK 列) で角度トラッキングを有効にしてください。 それにより、通常は 3D タッチプローブを使用した測定時の精度が向上します。

機械パラメータと関連した注意事項

  • 機械メーカーは機械パラメータ mStrobeRotAxPos (No. 204803) で変換の変更の最大許容範囲を定義します。値が -1 以外 (M 機能が回転軸をポジショニング) の場合は、必ずすべての回転軸が 0° のときに測定を開始してください。
  • 機械メーカーは機械パラメータ maxDevCalBall (No. 204802) で較正球の最大半径偏差を定義します。コントローラは各プロービングプロセスで、最初に較正球の半径を測定します。算出された球半径と入力した球半径の差が、機械パラメータ maxDevCalBall (No. 204802) で定義した値よりも大きい場合は、エラーメッセージが出力され、測定が終了します。

サイクルパラメータ

補助図

パラメータ

Q406 モード (-1/0/+1)

コントローラが補正表 (*.kco) の値を「0」で記述するか、現在の偏差を点検するか、または補正するかを指定します。プロトコル (*.html) が作成されます。

-1:補正表 (*.kco) の値を削除します。TCP 位置誤差の補正値は、補正表 (*.kco) で値 0 に設定されます。測定位置はプロービングされません。プロトコル (*.html) に結果は出力されません。 (#52 / #2-04-1)

0:TCP 位置誤差を点検します。TCP 位置誤差は回転軸位置に応じて測定されますが、補正表 (*.kco) への入力は行われません。標準および最大偏差は、プロトコル (*.html) に示されます。

1:TCP 位置誤差を補正します。TCP 位置誤差は回転軸位置に応じて測定され、偏差は補正表 (*.kco) に書き込まれます。その後、補正はすぐに有効になります。標準および最大偏差は、プロトコル (*.html) に示されます。 (#52 / #2-04-1)

入力:-10+1

Q407 較正球の半径は正確ですか?

使用する較正球の正確な半径を入力します。

入力:0.0001...99.9999

Q320 セットアップ許容値?

プロービング点とタッチプローブ球の間の追加的な間隔。Q320 は、タッチプローブ表の SET_UP 列に追加的に作用します。 この値はインクリメンタル値です。

入力:0...99999.9999 または PREDEF

Q408 退去位置?

0:退去時の高さには接近せず、測定する軸上の次の測定位置に移動します。ハース軸では許可されません。A、B、C の順序で最初の測定位置に接近します

>0:コントローラが回転軸のポジショニング前にスピンドル軸を位置決めする非傾斜ワークピース座標系における後退高さ。さらに、コントローラはタッチプローブを加工面でゼロ点にポジショニングします。プローブのモニタリングは、このモードでは有効ではありません。パラメータ Q253 でポジショニング速度を定義します。 この値は絶対値です。

入力:0...99999.9999

Q253 事前集積のための送り速度?

位置決め時の工具の移動速度 (mm/min) を指定します。

入力:0...99999.9999 または FMAXFAUTOPREDEF

Q380 基準角度? (0=主軸)

有効なワークピース座標系における測定点の検出に必要な基準角度 (基本回転) を指定します。基準角度の定義は、軸の測定範囲を大幅に拡大する場合があります。 この値は絶対値です。

入力:0...360

Q423 プローブの数?

平面上での較正球の測定に使用されるプロービングの数を定義します。測定点が少なくなると速度が上がり、測定点が多くなると測定の確実性が高くなります。

入力:3...8

Q431 プリセット(0/1/2/3)?

有効な基準点を球の中心に自動的に設定するかを指定します:

0:基準点を自動的には球の中心に設定しない:サイクル開始前に基準点を手動で設定します

1:測定前に基準点を自動的に球の中心に設定する (有効な基準点は上書きされます):サイクル開始前にタッチプローブを手動で較正球上方にプリポジショニングします

2:測定後に基準点を自動的に球の中心に設定する (有効な基準点は上書きされます):サイクル開始前に基準点を手動で設定します

3:測定の前後に基準点を球の中心に設定する (有効な基準点は上書きされます):サイクル開始前にタッチプローブを手動で較正球上方にプリポジショニングします

入力:0123

ユーザーマニュアルに含まれている NC プログラムは、あくまで解決のヒントです。機械で NC プログラムまたは個々の NC ブロックを使用する前には、必ずそれらを調整してください。

以下に応じて調整を行います。

  • 工具
  • 切断値
  • 送り速度
  • 安全な高さまたは安全な位置
  • 機械特有の位置 (例:M91)
  • プログラム呼出しのパス

一部の NC プログラムは機械キネマティクスに依存しています。このような NC プログラムは、最初のテストランの前にその機械キネマティクスに合わせてプログラムを調整してください。

さらに、実際のプログラムランの前にシミュレーションで NC プログラムをテストしてください。

 
Tip

プログラムをテストすることで、ソフトウェアオプションや有効な機械キネマティクス、現在の機械構成で、その NC プログラムが使用可能かどうかを確認できます。

サイクル 453 によるプロービング

11 TCH PROBE 453 KINEMATICS GRID ~

Q406=+0

;MODE ~

Q407=+12.5

;SPHERE RADIUS ~

Q320=+0

;SET-UP CLEARANCE ~

Q408=+0

;RETR. HEIGHT ~

Q253=+750

;F PRE-POSITIONING ~

Q380=+0

;REFERENCE ANGLE ~

Q423=+4

;NO. OF PROBE POINTS ~

Q431=+0

;PRESET

プロトコル機能

サイクル 453 の処理後にプロトコル (TCHPRAUTO.html) が作成されます。このプロトコルは、現在の NC プログラムと同じフォルダに保存されます。これには、次のデータが含まれます。

  • ログが作成された日付と時刻
  • 処理されたサイクルが含まれている NC プログラムのパス名
  • アクティブな工具の番号と名前
  • モード
  • 測定されたデータ:標準偏差と最大偏差
  • 最大偏差が度数 (°) で表示される位置を示す情報
  • 測定位置の数