グラフィックサポートを使用してワークをセットアップする (#159 / #1-07-1)

用途

ワークのセットアップ」機能では、タッチプローブ機能でのみワークピースの位置と傾き具合を算出し、ワークピース基準点として保存することができます。設定中に曲面をプロービングできます。

また、3D モデルを使用して、作業エリア「シミュレーション」に固定状態と可能なプロービング点を表示できます。

条件

  • ソフトウェアオプション Model Aided Setup (#159 / #1-07-1)
  • ワークタッチプローブが工具マネージャで適切に定義されている:
    • パラメータ R2 の球半径
    • 傾斜面でプロービングする場合、パラメータ TRACK でスピンドルトラッキングが有効になっている
  • タッチプローブ表 tchprobe.tp のパラメータ

  • ワークタッチプローブが較正されている
  • 傾斜面でプロービングする場合、ハイデンハインでは 3D 較正用のワークタッチプローブを推奨しています (#92 / #2-02-1)

  • ワークタッチプローブの較正

  • ブランク定義 BLK FORM を含む NC プログラムまたはブランクの STL ファイル

機能説明

実際のワーク上のプローブポイントの位置がワークの 3D モデルと合わせられます。

3D モデルが実際のワークに近いほど、より正確にワークをセットアップできます。

次の機能で 3D モデルを定義できます:

  • NC プログラムBLK FORM
  • 3D モデルがブランク定義から作成されます。

  • 最大 300,000 個の三角形を含むワークの STL ファイル

ワークのセットアップ」機能の範囲は、以下のようにソフトウェアオプション Adv. Function Set 1 (#8 / #1-01-1) および Adv. Function Set 2 (#9 / #4-01-1) によって異なります:

  • 両方のソフトウェアオプションが有効になっている:
  • 自由形状部品などの複雑なワークもプロービングするため、工具を設定前に傾け、設定中にオンにすることができます。

  • Adv. Function Set 1 (#8 / #1-01-1) のみが有効になっている:
  • 設定前に傾けることができます。加工面は一定でなければなりません。プロービング点間で回転軸を移動させると、エラーメッセージが表示されます。

  •  
    Tip

    回転軸の現在の座標と定義された旋回角度 (「3Dローテーション」ウィンドウ) が一致する場合、加工面は一定です。

  • どちらのソフトウェアオプションも有効になっていない:
  • 設定前に傾けることはできません。プロービング点間で回転軸を移動させると、エラーメッセージが表示されます。

加工面の傾斜 (#8 / #1-01-1)

作業エリア「シミュレーション」の拡張機能

作業エリア「プローブ機能」に加えて、作業エリア「シミュレーション」はワークのセットアップ時のグラフィックサポートを提供します。

作業エリア「シミュレーション」が開いた「ワークのセットアップ」機能

ワークのセットアップ」機能が有効な場合、作業エリア「シミュレーション」は以下の内容を表示します。

  • コントローラから見たワークの現在位置
  • ワークのプロービングされた点
  • 矢印による可能なプロービング方向:
    • 矢印なし
    • プロービングはできません。ワークタッチプローブがワークから離れすぎているか、ワークタッチプローブがコントローラから見てワーク内にあります。

    • この場合、必要に応じてシミュレーションで 3D モデルの位置を補正できます。

    • 赤色の矢印
    • 矢印方向のプロービングはできません。

    •  
      Tip

      ワークのエッジ、コーナー、または大きく湾曲したエリアのプロービングは、正確な測定結果を出しません。そのため、コントローラはこのエリアでのプロービングをロックします。

    • 黄色の矢印
    • 矢印方向のプロービングは条件付きで可能です。プロービングが選択解除された方向で行われるか、衝突を引き起こす可能性があります。

    • 緑色の矢印
    • 矢印方向のプロービングは可能です。

アイコンとボタン

ワークのセットアップ」機能には以下のアイコンとボタンがあります。

アイコンまたはボタン

意味

プリセットの変更」ウィンドウを開く

ワーク基準点とパレット基準点を選択して、必要に応じて編集することができます。

アイコンの右側にアクティブな基準点の番号が表示されます。

 
Tip

最初の点をプロービングすると、アイコンがグレーアウトされます。

XY クランプ面

この選択メニューを使用して、プロービングモードを定義します。プロービングモードに応じて、それぞれの軸方向と空間角が表示されます。

プロービングモード

NC プログラムまたは 3D モデルのファイル名

仮想ワークの位置を負の軸方向に 10 mm、0.3937 inch または 10° 移動します

 
Tip

ワークをリニア軸 (mm または inch) と回転軸 (°) で移動させます。

仮想ワークの位置を負の軸方向に 1 mm、0.0394 inch または 1° 移動します

  • 仮想ワークの位置を直接入力する
  • プロービング後の値と値の推定精度

仮想ワークの位置を正の軸方向に 1 mm、0.0394 inch または 1° 移動します

仮想ワークの位置を正の軸方向に 10 mm、0.3937 inch または 10° 移動します

方向のステータス:

  • グレー表示
  • 軸方向はこのセットアッププロセスで選択解除されており、考慮されません。

  • 空き
  • プロービング点がまだ算出されていません。

  • この軸方向でのワークの位置を決定できません。

  • この軸方向ですでに、ワークの位置に情報が含まれています。この情報は、この時点ではまだ重要な意味を持っていません。

  • この軸方向でのワークの位置を決定できます。

補正 アクティブなプリセットの

算出された値が基準点表のアクティブな行に保存されます。

プロービングモード

次のモードでワークをプロービングできます:

  • XY クランプ面
  • 軸方向 XY および Z ならびに空間角 SPC

  • XZ クランプ面
  • 軸方向 XY および Z ならびに空間角 SPB

  • YZ クランプ面
  • 軸方向 XY および Z ならびに空間角 SPA

  • 6D
  • 軸方向 XY および Z ならびに空間角 SPASPB および SPC

プロービングモードに応じて、それぞれの軸方向と空間角が表示されます。固定平面 XYXZ および YZ では、必要に応じて、それぞれの工具軸と空間角をスイッチで選択解除できます。コントローラは、選択解除された軸方向をセットアッププロセス時に考慮せず、他の軸方向だけを考慮してワークを配置します。

ハイデンハインは、次の手順でセットアッププロセスを実行することを推奨しています:

  1. 機械室内で 3D モデルをプリポジショニングする
  2. デフォルトでは、3D モデルがアクティブなワーク基準点に配置されます。この時点では、コントローラはワークの正確な位置を認識していませんが、ワークタッチプローブの位置は認識しています。3D モデルをワークタッチプローブの位置に基づきプリポジショニングする場合、実際のワークの位置に近い値が得られます。

  3. 軸方向 XY および Z の最初のプロービング点を設定する
  4. ある軸方向で位置を決められる場合、軸のステータスが緑に変わります。

  5. 他のプロービング点で空間角を決定する
  6. 空間角のプロービングにおいて最大限の精度を得るために、プロービング点をできる限り互いから離して設定します。

  7. 追加のチェック点で精度を高める
  8. 測定プロセスの最後の追加チェック点は一致の精度を高め、3D モデルと実際のワークの間の調整誤差を最小限に抑えます。現在の値を下回る望ましい精度になるまで、できるだけ多くのプロービングを実行してください。

誤差推定グラフ

各プロービング点によって、ワークの可能な配置をより制限し、3D モデルを機械内の実際の位置により近づけます。

誤差推定グラフは、各プローブポイントについて、3D モデルが実際のワークから離れている値を示します。

透明なバーのある「ワークのセットアップ」機能の誤差推定グラフ

ワークのセットアップ」機能の誤差推定グラフは次の情報を表示します。

  • 誤差推定[mm]
  • この値は、各プローブポイント後の 3D モデルとワーク間の最大推定間隔を示します。

  • 平均二乗偏差(RMS)
  • この値は、各プローブポイント後の 3D モデルとワーク間の記録されたすべての間隔の平均値を示します。

  • 偏差 [mm]
  • この軸を使用すると、3D モデルからワークのプローブポイントまでの推定間隔を確認できます。

  • プローブポイントの番号
  • この軸は、これまでのプローブポイントの数を示します。

  • バー
  • すべての軸のステータスがまだ緑色になっていない場合、透明なバーが表示されます。

  • 各プローブポイント後に、3D モデルが再調整されます。これにより、以前の値も変更されます。

  • 誤差推定グラフのバーが透明でなくなり、誤差推定[mm] が希望の精度を示したら、セットアッププロセスは完了です。

以下の要因は、ワークを測定できる精度に影響を与えます:

  • ワークタッチプローブの精度
  • 機械キネマティクスの精度
  • 実際のワークからの 3D モデルの偏差
  • 実際のワークの状態 (未加工エリアなど)

ワークをセットアップする

次のように「ワークのセットアップ」機能で基準点を設定します。

  1. 実際のワークを機械室内で固定します

  1. 操作モード「手動」を選択します

  1. ワークタッチプローブを取り付けます
  2. コーナーなど、ワーク上方の際立った点に手動でワークタッチプローブを位置決めします
  3.  
    Tip

    このステップは後に続くプロセスを容易にします。

  1. 設定」アプリケーションを選択します

  1. ワークのセットアップ」を選択します
  2. ワークのセットアップ」メニューが開きます。

  1. NC プログラムまたは 3D モデルを選択します

  1. 開く」を選択します
  2. シミュレーションで 3D モデルが表示されます。

  1. 必要に応じて、アクティブな基準点の値を確認するか、別の基準点を選択します

  1. ボタンを使用して、3D モデルを個別の軸方向に対して仮想機械室内でプリポジショニングします
  2.  
    Tip

    ワークのプリポジショニングではワークタッチプローブを基準点として使用してください。

    移動用の機能を使用して、セットアッププロセス中にワークの位置を手動で修正することもできます。その後に新しい点をプロービングしてください。

  1. プロービングモードを指定します (例えば XY) クランプ面
  2. ワークタッチプローブを、緑色の下向き矢印が表示されるまで移動させます
  3.  
    Tip

    この時点では、3D モデルはプリポジショニングされただけであるため、緑色の矢印は、プロービング時にワークの希望のエリアもプロービングするかどうかに関する確実な情報を提供できません。シミュレーションと機械におけるワークの位置が一致しているかどうか、また、機械上での矢印方向のプロービングが可能であるかどうかを確認してください。

    エッジ、面取り、丸み付けのすぐ近くでプロービングしないでください。

  1. NC スタートキーを押します
  2. コントローラは矢印方向でプロービングします。
  3. Z 軸のステータスが緑色になり、ワークがプロービングした位置に移動します。コントローラはプロービングした位置をシミュレーションで点によってマークします。

  1. プロセスを X+ および Y+ 軸方向で繰り返します
  2. 軸のステータスが緑色になります。

  1. その他の点を Y+ 軸方向で基本回転に対してプロービングします
  2. 空間角 SPC のステータスが緑色になります。

  1. チェック点を X- 軸方向でプロービングします

  1. 補正 アクティブなプリセットの」を選択します
  2. 算出された値が基準点表のアクティブな行に保存されます。

  1. ワークのセットアップ」機能を終了します

注意事項

 
注意事項
衝突の危険に注意!
機械での固定状況を正確にプロービングするためには、ワークタッチプローブを正しく較正し、値 R2 を工具マネージャで正しく定義する必要があります。そうしないと、ワークタッチプローブの間違った工具データによって不正確な測定結果や、場合によっては衝突が生じるおそれがあります。
  1. ワークタッチプローブを定期的に較正します
  2. 工具マネージャでパラメータ R2 を入力します
  • コントローラは 3D モデルと実際のワークの間のモデリングにおける違いを認識できません。
  • 工具キャリアをワークタッチプローブに割り当てると、場合によっては衝突をより簡単に検出できます。
  • ハイデンハインでは、ワークの両側で軸方向に対してチェック点をプロービングすることを推奨しています。これにより、シミュレーションで 3D モデルの位置が同じように補正されます。
  • +-*/() キーを使って、数の入力フィールド内で計算できます。