タッチプローブサイクル 0、1、420~431 の基本事項
測定結果の記録
ワークを自動測定するのに使用されるすべてのサイクル (例外:サイクル 0 および 1) に対して、測定プロトコルを作成することができます。それぞれのタッチプローブサイクルにおいて、以下を定義できます:
- 測定記録を作成しないかどうか
- 測定記録をファイルに保存するかどうか
- 測定記録をスクリーンに表示し、プログラムランを中断するかどうか
プロトコルファイルのヘッダーには、メインプログラムの単位が表示されます。
測定記録をデータインターフェースを介して出力する場合は、ハイデンハインのデータ伝送ソフトウェア TNCremo をご使用ください。
画面で測定プロトコルを出力する:
サイクル 42x および 43x をサイクル 441 FAST PROBING と組み合わせて実行し、画面で測定プロトコルを出力する場合は、サイクル 441 でパラメータ Q400=1 をプログラミングする必要があります。そうしないと、中断されず、測定プロトコルが画面に表示されません。
測定プロトコルを保存する:
検定表をファイルに保存する場合、デフォルトでは ASCII ファイルとしてデータが保存されます。その際、関連する NC プログラムが含まれるディレクトリが保存場所として選択されます。
例
タッチプローブサイクル 421 のプロトコルファイル:
タッチプローブサイクル 421「ドリル穴の測定」の測定プロトコル | |
日付:2005 年 6 月 30 日 | |
時刻:6:55:04 | |
測定プログラム:TNC:GEH35712CHECK1.H | |
寸法表示方法 (0=MM / 1=INCH):0 | |
目標値: | |
主軸の中心: | 50.0000 |
副軸の中心: | 65.0000 |
直径: | 12.0000 |
デフォルト限界値: | |
主軸の中心の最大寸法: | 50.1000 |
主軸の中心の最小寸法: | 49.9000 |
副軸の中心の最大寸法: | 65.1000 |
副軸の中心の最小寸法: | 64.9000 |
ドリル穴の最大寸法: | 12.0450 |
ドリル穴の最小寸法: | 12.0000 |
実際値: | |
主軸の中心: | 50.0810 |
副軸の中心: | 64.9530 |
直径: | 12.0259 |
偏差: | |
主軸の中心: | 0.0810 |
副軸の中心: | -0.0470 |
直径: | 0.0259 |
その他の測定結果:測定高さ: | -5.0000 |
測定記録終了 |
Q パラメータでの測定結果
各タッチプローブサイクルの測定結果は、全体に有効な Q パラメータ Q150 ~ Q160 に保存されます。目標値からの偏差はパラメータ Q161~Q166 に保存されます。サイクル記述の際に毎回一緒に表示される結果パラメータの表を確認してください。
さらに、コントローラはサイクル定義の際に各サイクルの補助図に結果パラメータを一緒に表示します 。その際に、ハイライト表示された結果パラメータが各入力パラメータに対応します。
測定のステータス
サイクルによっては、全体に有効な Q パラメータ Q180~Q182 で測定のステータスを照会することができます。
パラメータの値 | 測定ステータス |
---|---|
Q180 = 1 | 測定値が公差範囲内にある |
Q181 = 1 | 事後加工が必要 |
Q182 = 1 | スクラップ |
測定値の 1 つが公差範囲を超えると、コントローラはリワークフラグまたは廃棄フラグをセットします。公差範囲外にある測定結果を確認するには、さらに検定表を見たり、各測定結果 (Q150~Q160) の限界値をチェックしたりしてください。
サイクル 427 では通常、外側寸法 (スタッド) を測定するものと仮定します。ただし、プロービング方向と関連した最大寸法と最小寸法を正しく選択すると、測定ステータスを修正することができます。
公差値や最大/最小寸法を入力しなかった場合でも、コントローラによってステータスフラグがセットされます。
公差モニタリング
ワークピース点検のための大部分のサイクルでは、公差モニタリングを行うことができます。そのためには、サイクル定義の際に必要な限界値を定義する必要があります。公差モニタリングを行わない場合は、これらのパラメータに 0 (= デフォルト値) を入力してください。
工具の監視
ワークピース点検のための一部のサイクルでは、工具モニタリングを行うことができます。コントローラはその場合、次の点を監視します。
- 目標値 (Q16x の値) からの偏差に基づいて工具半径を補正するかどうか
- 目標値 (Q16x の値) からの偏差が工具の破損公差よりも大きいかどうか
工具補正
条件:
- 有効な工具表
- サイクルの工具監視をオンにする必要があります:Q330 を 0 以外で入力するか、工具名を入力します。アクションバー「名前」で、工具名の入力を選択します。
- これから修正する工具を使用してすでに輪郭を加工している場合、そして必要な再加工もこの工具で行う場合にのみ、この機能を実行することをお勧めします。
- 複数の補正測定を実行する場合、コントローラはそれぞれ測定された偏差を、工具表に既に保存された値に加算します。
フライス加工工具
パラメータ Q330 をフライス加工工具に適用すると、該当する値が次のように修正されます。
原則として、測定された偏差が事前設定された公差範囲内にある場合でも、常に工具表の DR 列にある工具半径を修正します。
リワークが必要かどうかは、NC プログラムでパラメータ Q181 を使用して照会できます (Q181=1:リワークが必要)。
旋削工具
サイクルが 421、422、427 の場合のみ有効。
パラメータ Q330 で旋削工具を指定している場合、DZL ないしは DXL 列の該当する値が補正されます。LBREAK 列で定義されている破損公差もコントローラによって監視されます。
リワークが必要かどうかは、NC プログラムでパラメータ Q181 を使用して照会できます (Q181=1:リワークが必要)。
インデックス付き工具の補正
工具名のあるインデックス付き工具を自動的に補正したい場合は、次の手順に従ってプログラミングしてください。
- QS0 =「工具名」
- FN 18: SYSREAD Q0 = ID990 NR10 IDX0、IDX では QS パラメータの番号を指定します
- Q0= Q0 +0.2、基本工具の番号のインデックスを付加します
- サイクル:Q330 = Q0、インデックス付き工具番号を使用します
工具破損モニタリング
条件:
- 有効な工具表
- サイクルの工具モニタリングをオンにする必要があります (Q330 を 0 以外で入力します)
- RBREAK は 0 より大きくなければなりません (表に入力された工具番号で)
測定された偏差が工具の破損公差よりも大きい場合、コントローラはエラーメッセージを出力して、プログラムランを停止します。同時に、工具表内でその工具をロックします (TL 列 = L)。
測定結果のための基準系
コントローラはすべての測定結果を、アクティブな座標系 (つまり、場合によっては移動/回転/傾斜させた座標系) での結果パラメータとプロトコルファイルに出力します。