サイクル 1021 CYLINDER, SLOW-STROKE GRINDING (#156 / #4-04-1)

ISO プログラミング

G1021

用途

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

この機能は、機械メーカーが使用可能にして、調整する必要があります。

サイクル 1021 円筒のスローストローク研削では、円形ポケットまたは円形スタッドを研削できます。円筒の高さは、研削ホイールの幅よりはるかに大きくても可能です。往復ストロークにより、円筒の高さ全体を加工できます。往復ストロークの間、複数の円経路が実行されます。その際、往復ストロークと円経路がらせんに重なります。このプロセスは、スローストロークの研削と同様です。

側面切込みは、半円に沿って往復ストロークの折り返し点で行われます。往復ストロークの送り速度を、研削ホイールの幅を基準にしてらせん経路のピッチとしてプログラミングします。

止まり穴など、円筒もオーバーランなしで完全に加工できます。そのためには、往復ストロークの折り返し点での空周回をプログラミングします。

サイクルシーケンス

  1. 研削工具が POCKET POSITION Q367 に応じて円筒上にポジショニングされます。続いて、工具が早送りで CLEARANCE HEIGHT Q260 に移動します。
  2. 研削工具が F PRE-POSITIONING Q253SET-UP CLEARANCE Q200 に移動します
  3. 研削工具が工具軸の始点に移動します。始点は、 MACHINING DIRECTION Q1031 に応じて往復ストロークの上または下の折り返し点にあります。
  4. このサイクルが往復ストロークを開始します。研削工具は GRINDING FEED RATE Q207 で輪郭に移動します。
  5. 往復ストロークの送り速度

  6. 開始位置での往復動作が遅延されます。
  7. 研削工具が Q1021 片側切込みに応じて、半円で側面切込み Q534 1 分だけ切り込みます。
  8. 場合によっては、定義された空周回 2 Q211 または Q210 が実行されます。
  9. 往復ストロークの折り返し点でのオーバーランおよび空周回

  10. このサイクルは往復動作を続行します。研削工具が複数の円経路を移動します。円経路と往復ストロークが工具軸の方向でらせんに重なります。らせん経路のピッチを係数 Q1032 で変更します。
  11. らせん経路 3 は、往復ストロークの 2 番目の折り返し点に達するまで繰り返されます。
  12. 仕上り品の直径 Q223 または許容値 Q14 に達するまで、工程 4 ~ 7 が繰り返されます。
  13. 最後の側面切込み後に研削ホイールは、プログラミングされている場合は空ストローク Q1020 の数だけ移動します。
  14. 往復ストロークが停止されます。研削工具は、半円上の円筒からセットアップ許容値 Q200 分だけ離れます。
  15. 研削工具が F PRE-POSITIONING Q253SET-UP CLEARANCE Q200に移動し、続いて早送りで CLEARANCE HEIGHT Q260 に移動します。
 
Tip
  • 研削工具が往復ストロークの折り返し点で円筒を完全に加工できるように、十分なオーバーランまたは空周回を定義する必要があります。
  • 往復ストロークの長さは、DEPTH Q201表面オフセット Q1030 およびホイール幅 B から求められます。
  • 加工面の始点は、工具半径および SET-UP CLEARANCE Q200 の分だけ、FINISHED PART DIA. Q223 (OVERSIZE AT START Q368 を含む) から離れています。

往復ストロークの折り返し点でのオーバーランおよび空周回

オーバーランの経路

この経路は、パラメータ Q1030 表面オフセットで定義します。

この経路を加工の深さで計算してから、Q201 DEPTHで指定する必要があります。

ポケットの場合などオーバーランが不可の場合、往復ストロークの折り返し点で複数の空周回 (Q210Q211) をプログラミングします。切込み後 (半円経路)、最低でも 1 つの円経路が切込み直径上で移動するように回数を選択します。空周回の回数は、常に送り速度オーバーライド 100 % をもとにします。

 
Tip
  • ハイデンハインでは、送り速度オーバーライド 100 % またはそれ以上での移動を推奨しています。送り速度オーバーライドが 100 % 未満の場合、折り返し点で円筒を完全に加工できない可能性があります。
  • ハイデンハインでは、空周回の定義時に少なくとも 1.5 の値を定義することを推奨しています。

往復ストロークの送り速度

係数 Q1032 でらせん経路 (= 360°) ごとのピッチを定義します。この定義により、往復ストロークの送り速度 (mm または inch) / らせん経路 (= 360°) が求められます。

GRINDING FEED RATE Q207 と往復ストロークの送り速度の比率は重要な役割を果たします。送り速度オーバーライドが 100 % でない場合、円経路での往復ストロークの長さが研削ホイールの幅より小さいことを確認してください。

 
Tip

ハイデンハインでは、最大 0.5 の係数を選択することを推奨しています。

注意事項

 
Machine

機械メーカーは、往復動作のオーバーライドを変更できます。

  • このサイクルは、加工モード FUNCTION MODE MILL でのみ実行可能です。
  • 最後の側面切込みは入力に応じてわずかに欠落する場合があります。
  • シミュレーションでは往復動作は表示されません。操作モード「プログラム実行」でのシミュレーショングラフィックは往復動作を示します。
  • このサイクルはフライス加工工具でも実行可能です。フライス加工工具の場合、刃の長さ LCUTS は研削ホイール幅です。
  • サイクルが M109 を考慮しているか注意してください。これによって、プログラムラン中のステータス表示で、ポケットの GRINDING FEED RATE Q207 がスタッドのものより小さくなります。往復ストロークを含む研削工具の中心点経路の送り速度が表示されます。
  • M109 を使用して円形路での送り速度を調整する

プログラミングの注意事項

  • 円筒底部に底面があることが前提です。このことから、表面でのみオーバーランを Q1030 で定義できます。例えばスルーホール加工時に、DEPTH Q201 で下のオーバーランを考慮する必要があります。
  • 往復ストロークの折り返し点でのオーバーランおよび空周回

  • 研削ホイールの幅が DEPTH Q201表面オフセット Q1030 よりも広い場合、エラーメッセージ「スイング行程無し」が表示されます。この場合、導き出される往復ストロークは 0 です。

サイクルパラメータ

ヘルプ画像

パラメータ

Q650 形状のタイプは?

図形の形状:

0:ポケット

1:アイランド

入力:01

Q223 仕上り品直径

加工完了後の円筒の直径

入力:0...99999.9999

Q368 機械加工前、側面大型サイズ?

研削加工前に存在する側面の許容値。この値は Q14 よりも大きくなければなりません。 この値はインクリメンタル値です。

入力:-0.9999...+99.9999

Q14 側面の仕上げ加工許容値?

加工後に残る側面の許容値。この許容値は Q368 よりも小さくなければなりません。 この値はインクリメンタル値です。

入力:-99999.9999...+99999.9999

Q367 ポケットの位置(0/1/2/3/4)?

サイクル呼出し時の工具の位置を基準とした図形の位置:

0:工具の位置= 図形中心

1:工具の位置= 90° での四分円境界

2:工具の位置= 0° での四分円境界

3:工具の位置= 270° での四分円境界

4:工具の位置= 180° での四分円境界

入力:01234

Q203 ワークピース表面座標?

有効なゼロ点をもとにしたワークピース表面の座標。 この値は絶対値です。

入力:-99999.9999...+99999.9999

Q1030 面へのオフセット?

表面での工具上端の位置。このオフセットは、往復ストロークのための表面でのオーバーラン経路として使用されます。 この値は絶対値です。

入力:0...999.999

Q201 深さ?

ワークピース表面と輪郭底部間の間隔。 この値はインクリメンタル値です。

入力:-99999.9999...+0

Q1031 加工方向は?

開始位置の定義。これにより、最初の往復ストロークの方向が決まります:

-1 または 0:開始位置は表面にあります。往復ストロークは負の方向で始まります。

+1:開始位置は円筒底部にあります。往復ストロークは正の方向で始まります。

入力:-10+1

Q1021 片側送り(0/1)?

側面切込みを行う位置:

0:下と上で側面切込み

1Q1031 に応じて異なる片側切込み

  • Q1031 = -1 の場合、側面切込みは上で行われます。
  • Q1031 = +1 の場合、側面切込みは下で行われます。

入力:01

Q534 水平送りは?

研削工具が側面切込みを行う寸法。

入力:0.0001...99.9999

Q1020 アイドルストローク数は?

材料除去なしでの最後の側面切込み後の空ストロークの数。

入力:0...99

Q1032 螺旋ピッチ係数は?

係数 Q1032 でらせん経路 (= 360°) ごとのピッチが求められます。Q1032 を研削工具の幅 B に掛けます。往復ストロークの送り速度は、らせん経路のピッチによって変更されます。

入力:0.000...1.000

往復ストロークの送り速度

Q207 研削の送り速度

輪郭の研削時の工具の移動速度 (mm/min)

入力:0...99999.999 または FAUTOFU

Q253 事前集積のための送り速度?

DEPTH Q201 への接近時の工具の移動速度。この送り速度は、SURFACE COORDINATE Q203 で有効です。入力は mm/min 単位です。

入力:0...99999.9999 または FMAXFAUTOPREDEF

Q15 アップカット/クライム研削(-1/+1)?

輪郭の研削方法を指定します:

+1:順方向研削

-1 または 0:逆方向研削

入力:-10+1

Q260 安全高さ?

ワークとの衝突が生じない位置。 この値は絶対値です。

入力:-99999.9999...+99999.9999 または PREDEF

Q200 セットアップ許容値?

工具先端とワークピース表面間の間隔。 この値はインクリメンタル値です。

入力:0...99999.9999 または PREDEF

Q211 底部のアイドル実行は? (オプション)

往復ストロークの下の折り返し点での空周回の数。

入力:0...99.99

往復ストロークの折り返し点でのオーバーランおよび空周回

Q210 上部のアイドル実行は? (オプション)

往復ストロークの上の折り返し点での空周回の数。

入力:0...99.99

往復ストロークの折り返し点でのオーバーランおよび空周回

ユーザーマニュアルに含まれている NC プログラムは、あくまで解決のヒントです。機械で NC プログラムまたは個々の NC ブロックを使用する前には、必ずそれらを調整してください。

以下に応じて調整を行います。

  • 工具
  • 切断値
  • 送り速度
  • 安全な高さまたは安全な位置
  • 機械特有の位置 (例:M91)
  • プログラム呼出しのパス

一部の NC プログラムは機械キネマティクスに依存しています。このような NC プログラムは、最初のテストランの前にその機械キネマティクスに合わせてプログラムを調整してください。

さらに、実際のプログラムランの前にシミュレーションで NC プログラムをテストしてください。

 
Tip

プログラムをテストすることで、ソフトウェアオプションや有効な機械キネマティクス、現在の機械構成で、その NC プログラムが使用可能かどうかを確認できます。

11 CYCL DEF 1021 CYLINDER, SLOW-STROKE GRINDING ~

Q650=+0

;FIGURE TYPE ~

Q223=+50

;FINISHED PART DIA. ~

Q368=+0.1

;OVERSIZE AT START ~

Q14=+0

;ALLOWANCE FOR SIDE ~

Q367=+0

;POCKET POSITION ~

Q203=+0

;SURFACE COORDINATE ~

Q1030=+2

;VERSATZ OBERFLAECHE ~

Q201=-20

;DEPTH ~

Q1031=+1

;MACHINING DIRECTION ~

Q1021=+0

;ONE-SIDED INFEED ~

Q534=+0.01

;LATERAL INFEED ~

Q1020=+0

;IDLE STROKES ~

Q1032=+0.5

;FAKTOR ZUSTELLUNG ~

Q207=+2000

;GRINDING FEED RATE ~

Q253=+750

;F PRE-POSITIONING ~

Q15=-1

;TYPE OF GRINDING ~

Q260=+100

;CLEARANCE HEIGHT ~

Q200=+2

;SET-UP CLEARANCE ~

Q211=+0

;IDLE RUNS AT DEPTH ~

Q210=+0

;IDLE RUNS AT TOP