基準点表*.pr

用途

基準点表 preset.pr を使用して、機械におけるワークの位置や傾き具合など、基準点を管理することができます。基準点表のアクティブな行は、NC プログラムでワーク基準点として、ワーク座標系 W-CS の座標原点として使用されます。

機械内の基準点

機能説明

基準点表はデフォルトで TNC:\table ディレクトリに保存され、preset.pr という名前になっています。操作モード「テーブル」では、基準点表がデフォルトで開いています。

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

機械メーカーは、基準点表に対して別のパスを指定できます。

機械メーカーはオプションの機械パラメータ basisTrans (No. 123903) で、それぞれの移動範囲に対して固有の基準点表を定義します。

基準点表のアイコンとボタン

基準点表には以下のアイコンがあります:

アイコン

意味

アクティブな行

書込み保護された行

基準点を編集する場合、次の入力オプションを含むウィンドウが開きます:

ボタン

機能

プリセットを設定

入力された値が実際位置の望ましい表示値として解釈されます。この情報から、必要な表の値が計算されます。

入力された値は基本座標系 B-CS の値です。

基本座標系 B-CS

編集した基準点を有効にすると、入力された値が実際位置として位置表示に表示されます。

正しい

入力された値が現在の表の値で計算されます。正の値と負の値の両方を入力できます。

入力された値は基本座標系 B-CS のインクリメンタル値です。

編集

入力された値は変更されずに表の値として適用されます。

入力された値は基本座標系 B-CS の座標原点を基準にします。

基準点表のパラメータ

基準点表には以下のパラメータがあります:

パラメータ

意味

NO

基準点表の行番号

入力:0~99999999

DOC

コメント

入力:テキスト幅 16

X

基準点の X 座標

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

Y

基準点の Y 座標

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

Z

基準点の Z 座標

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

SPA

A 軸の基準点の空間角

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

工具軸 Z で 3D 基本回転として作用します

基本回転と 3D 基本回転

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

SPB

B 軸の基準点の空間角

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

工具軸 Z で 3D 基本回転として作用します

基本回転と 3D 基本回転

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

SPC

C 軸の基準点の空間角

基本座標系 B-CS を基準にした基本変換
基本座標系 B-CS

工具軸 Z で基本回転として作用します

基本回転と 3D 基本回転

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

X_OFFS

基準点に対する X 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

Y_OFFS

基準点に対する Y 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

Z_OFFS

基準点に対する Z 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

A_OFFS

基準点に対する A 軸の軸角度

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

B_OFFS

基準点に対する B 軸の軸角度

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

C_OFFS

基準点に対する C 軸の軸角度

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力:-99999.9999999...+99999.9999999

U_OFFS

基準点に対する U 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

V_OFFS

基準点に対する V 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

W_OFFS

基準点に対する W 軸の位置

機械座標系 M-CS を基準にしたオフセット
機械座標系 M-CS

入力範囲:-99999.99999~+99999.99999

ACTNO

有効なワーク基準点

アクティブな行に 1 が自動的に入力されます。

入力:01

LOCKED

表の行の書込み保護

入力:テキスト幅 16

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

機械メーカーはオプションの機械パラメータ CfgPresetSettings (No. 204600) で、個別の軸の基準点の設定をロックすることができます。

基本変換およびオフセット

基本変換 SPASPB および SPC が、ワーク座標系 W-CS の基本回転または 3D 基本回転として解釈されます。処理中、ワークの位置を変えることなく、リニア軸が基本回転に従って移動します。

基本回転と 3D 基本回転

すべてのオフセットが、機械座標系 M-CS のシフトとして軸ごとに解釈されます。オフセットの作用はキネマティクスに依存します。

機械座標系 M-CS

 
Tip

ハイデンハインは、柔軟に使用できることから 3D 基本回転の使用を推奨しています。

適用例

プロービング機能「回転(ROT)」で、ワークの傾き具合を算出します。結果は、基本変換またはオフセットとして基準点表に適用できます。

ワークの基本回転を算出して補正する

プロービング機能「回転(ROT)」の結果

基本回転」スイッチを有効にすると、傾き具合が基本変換として解釈されます。「補正 アクティブなプリセットの」ボタンで、基準点表の SPASPBSPC 列の結果が保存されます。この場合、「回転テーブルを整列」ボタンは機能しません。

テーブルの回転」スイッチを有効にすると、傾き具合がオフセットとして解釈されます。「補正 アクティブなプリセットの」ボタンで、基準点表の A_OFFSB_OFFSC_OFFS 列の結果が保存されます。「回転テーブルを整列」ボタンで、回転軸をオフセットの位置に移動できます。

表の行の書込み保護

データレコードのロック」ボタンを使用して、上書き前に基準点表の任意の行を保護することができます。値 LLOCKED 列に入力されます。

パスワードを使用しない表の行の保護

または、行をパスワードで保護することもできます。 値 ###LOCKED 列に入力されます。

パスワードを使用する表の行の保護

書込み保護された行の前にアイコンが表示されます。

 
Tip

LOCKED 列に値 OEM が表示されている場合、この列は機械メーカーによってロックされています。

 
注意事項
データの消失に注意してください。
パスワードで保護された行は、設定したパスワードでしかロック解除できません。パスワードを忘れてもリセットできません。それにより、保護された行は常時ロックされます。
  1. 表の行はパスワードなしで保護することが推奨されます
  2. パスワードをメモしてください

書込み保護の有効化

パスワードを使用しない表の行の保護

以下のようにパスワードを使用しないで表の行を保護します:

    1. 編集」スイッチを有効にします

    1. 希望の行を選択します

    1. データレコードのロック」スイッチを有効にします
    2. LLOCKED 列に入力されます。

    1. 書込み保護が有効になり、行の前にアイコンが表示されます。

    パスワードを使用する表の行の保護

     
    注意事項
    データの消失に注意してください。
    パスワードで保護された行は、設定したパスワードでしかロック解除できません。パスワードを忘れてもリセットできません。それにより、保護された行は常時ロックされます。
    1. 表の行はパスワードなしで保護することが推奨されます
    2. パスワードをメモしてください

    以下のようにパスワードを使用して表の行を保護します:

      1. 編集」スイッチを有効にします

      1. 希望の行の LOCKED 列をダブルタップまたはダブルクリックします
      2. パスワードを入力します

      1. 入力内容を確定します
      2. ###LOCKED 列に入力されます。

      1. 書込み保護が有効になり、行の前にアイコンが表示されます。

      書込み保護の解除

      パスワードを使用しない表の行のロック解除

      パスワードを使用しないで保護されている表の行のロックを以下のように解除します:

        1. 編集」スイッチを有効にします

        1. データレコードのロック」スイッチを無効にします
        2. LOCKED 列から値 L が削除されます。
        3. 書込み保護が無効になり、行の前にあるアイコンが削除されます。

        パスワードを使用する表の行のロック解除

         
        注意事項
        データの消失に注意してください。
        パスワードで保護された行は、設定したパスワードでしかロック解除できません。パスワードを忘れてもリセットできません。それにより、保護された行は常時ロックされます。
        1. 表の行はパスワードなしで保護することが推奨されます
        2. パスワードをメモしてください

        パスワードを使用して保護されている表の行のロックを以下のように解除します:

          1. 編集」スイッチを有効にします

          1. 希望の行の LOCKED 列をダブルタップまたはダブルクリックします
          2. ### を削除します
          3. パスワードを入力します

          1. 入力内容を確定します
          2. 書込み保護が無効になり、行の前にあるアイコンが削除されます。

          基準点表をインチで作成する

          メニュー項目「機械設定」で単位 inch を定義すると、基準点表の単位は自動的に変わりません。

          メニュー項目機械設定

          以下のように基準点表をインチで作成します:

            1. コントローラを再起動します
            2. 電力中断は承認しません

            1. 操作モード「ファイル」を選択します

            1. TNC:\table フォルダを開きます
            2. 元のファイル preset.pr の名前を変更します (preset_mm.pr など)

            1. 操作モード「テーブル」を選択します

            1. 新規テーブルの作成を選択します
            2. 新規テーブルの作成」ウィンドウが開きます。
            3. pr フォルダを選択します
            4. 必要に応じて、単位 inch を選択します

            1. 希望のプロトタイプを選択します

            1. パスを選択します
            2. 名前を付けて保存:」ウィンドウが開きます。
            3. table フォルダを選択します
            4. 名前「preset.pr」を入力します

            1. 作成」を 2 回選択します
            2. 操作モード「プリセット」で「テーブル」タブが開きます。

            1. コントローラを再起動します

            1. CE キーで電力中断を承認します

            1. 操作モード「プリセット」で「テーブル」タブを選択します
            2. 新規作成された表が基準点表として使用されます。
            3. 作業エリアのダイアログバーに単位 inch が表示されます。

            注意事項

             
            注意事項
            多大な物的損害が生じるおそれがあります。
            基準点表の未定義のフィールドと 0 の値が定義されているフィールドは挙動が異なります。0 が定義されているフィールドはアクティブにすると前の値が上書きされ、未定義のフィールドは前の値がそのまま保持されます。以前の値が保持されている場合、衝突の危険があります!
            1. 基準点をアクティブにする前に、すべての列に値が書き込まれているか確認してください
            2. 定義されていない列の場合、値を入力します (例:0)
            3. または、機械メーカーに列のデフォルト値として 0 を定義してもらいます
            • ファイルサイズと処理速度を最適化するため、基準点表はできるだけ短く維持してください。
            • 新しい行は基準点表の最後にしか追加できません。
            • DOC 列の値を編集する場合は、基準点を再度有効にする必要があります。その後、新しい値が適用されます。
            • 基準点を有効にする

            • 機械によっては、パレット基準点表が使用できる場合があります。パレット基準点が有効な場合、基準点表の基準点はこのパレット基準点を基準にします。
            • パレット基準点表

            • 手動プロービングプロセスまたは NC プログラムが中断または停止すると、基準点表を編集できません。表のセルをダブルタップするか、ダブルクリックすると、「編集できません。内部停止を実行しますか?」ウィンドウが表示されます。「対応」を選択すると、必要に応じて、プロービング点またはモーダルに作用するプログラム情報が失われます。

            機械パラメータと関連した注意事項