基本事項 (#48 / #2-01-1)

基本事項

精度への要求は特に 5 軸加工分野においてもますます高くなっています。そのようにして、複雑な部品が正確かつ再現可能な精度で長期に渡っても製造可能となります。

多軸加工における不精確性の原因の 1 つに、保存されているキネマティクスモデル (図 1 を参照) と実際に機械に存在するキネマティクス環境 (図 2 を参照) との間に生じる誤差が挙げられます。こうした誤差が原因となって、回転軸のポジショニング時にワークピースに不具合が生じます (図 3 を参照)。そのため、モデルと実際の違いをできるだけ小さくする方法を生み出す必要があります。

コントローラ機能 KinematicsOpt は、こうした複雑な要求にも実際に応えるための重要なモジュールです。機械の回転軸がテーブルとヘッドのどちらで設計されていようと、3D タッチプローブサイクルが全自動で回転軸を測定します。その際、較正球は機械テーブル上の任意の箇所に固定され、ユーザーによって定義可能な精度で測定します。サイクル定義では、ユーザーは各回転軸に対して測定する範囲を個別に指定するだけです。

測定された値からコントローラが静的な傾斜精度を算出します。その際、ソフトウェアが傾斜動作によって生じたポジショニング誤差を最小化し、測定プロセスの最後にキネマティクス表の各機械定数に機械ジオメトリを自動的に保存します。

条件

 
Machine

機械のマニュアルを参照してください。

ソフトウェアオプション Adv. Function Set 1 (#8 / #1-01-1) を有効にしておく必要があります。

ソフトウェアオプション KinematicsOpt (#48 / #2-01-1) を有効にしておく必要があります。

機械とコントローラの準備は必ず機械メーカーに依頼します。

KinematicsOpt の使用の前提条件:

 
Machine

機械メーカーが、構成データにおいて CfgKinematicsOpt (No. 204800) 用の機械パラメータを保存しておく必要があります。

  • maxModification (No. 204801) は許容限界値を定め、キネマティクスデータでの変更がこの限界値を超えると、コントローラが注意を表示します
  • maxDevCalBall (No. 204802) は、入力されたサイクルパラメータと測定された較正球半径の許容差を指定します
  • mStrobeRotAxPos (No. 204803) は、回転軸を位置決めするための M 機能を設定します。この機能は別途、機械メーカーが定義するものです
  • 測定に使用される 3D タッチプローブが較正済みであること。
  • サイクルは工具軸 Z でのみ実行可能です。
  • 厳密に既知の半径と充分な剛性を持つ測定球が、機械テーブルの任意の箇所に固定されていること。
  • 機械のキネマティクス記述が完全かつ正確に定義されており、変換寸法が約 1 mm の精度で登録されていること。
  • 機械のジオメトリがすべて測定済みであること (使用開始時に機械メーカーが実行します)。
 
Tip

ハイデンハインは較正球 KKH 250 (注文番号 655475-01) または KKH 80 (注文番号 655475-03) の使用をお勧めします。これらの較正球は高剛性で、機械較正専用に設計されています。ご希望の場合は、ハイデンハインまでご連絡ください。

注意事項

 
Machine

ハイデンハインでは、ハイデンハインのタッチプローブを使用する場合のみ、タッチプローブサイクルの機能を保証します。

 
注意事項
衝突の危険に注意!
タッチプローブサイクル 400499 の実行時に、座標変換のためのサイクルがアクティブであってはなりません。衝突の危険があります!
  1. タッチプローブサイクルを使用する前に、次のサイクルをアクティブにしないでください:
    • サイクル 7 DATUM SHIFT
    • サイクル 8 MIRROR IMAGE
    • サイクル 10 ROTATION
    • サイクル 11 SCALING
    • サイクル 26 AXIS-SPEC. SCALING
  2. 座標変換を事前にリセットします
 
注意事項
衝突の危険に注意!
キネマティクスを変更すると、必ず基準点も変更されます。基本回転は自動的に 0 に戻されます。衝突の危険があります!
  1. 最適化の後は基準点を新しく設定してください

機械パラメータと関連した注意事項

  • 機械メーカーは、機械パラメータ mStrobeRotAxPos (No 204803) で回転軸の位置を定義します。機械パラメータに M 機能が設定されている場合は、KinematicsOpt サイクル (450 を除く) のいずれかを開始する前に、回転軸を 0 度 (実座標系) にポジショニングする必要があります。
  • この機械パラメータが KinematicsOpt サイクルによって変更された場合、制御装置を再起動する必要があります。再起動しないと、状況によっては変更内容が失われることがあります。
  • 機械メーカーがオプションの機械パラメータ trackAsync (No. 122503) を使用して、プロービングの際にプリポジショニングでスピンドルを位置合わせするか定義します。